悪性軟部腫瘍との鑑別を要した左踵部原発の放線菌症
【症例】62歳の男性.9ヶ月前から左踵外側の腫瘤を自覚,徐々に増大を認めた.初診時,左踵部に4 cm大の皮下腫瘤を認め,皮膚が一部潰瘍化し出血を伴っていた.MRIではT1WIで筋と等信号,T2WIで低~高信号の不均一,STIRで高信号な充実性の腫瘤を認め,骨へは浸潤していなかった.血液検査では炎症反応陰性だった.悪性軟部腫瘍を疑い,針生検を2回施行したが悪性の所見を認めず,感染性肉芽(放線菌症)が疑われた.切除術を行ったところ,標本の組織培養で28日後に放線菌が認められ放線菌症と診断した.術後2週間ペニシリンG点滴,その後半年間アモキシシリン内服を継続した.その後再発を認めていない.【考察】放...
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| Published in | 整形外科と災害外科 Vol. 71; no. 4; pp. 779 - 780 |
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| Main Authors | , , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
西日本整形・災害外科学会
25.09.2022
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0037-1033 1349-4333 |
| DOI | 10.5035/nishiseisai.71.779 |
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| Summary: | 【症例】62歳の男性.9ヶ月前から左踵外側の腫瘤を自覚,徐々に増大を認めた.初診時,左踵部に4 cm大の皮下腫瘤を認め,皮膚が一部潰瘍化し出血を伴っていた.MRIではT1WIで筋と等信号,T2WIで低~高信号の不均一,STIRで高信号な充実性の腫瘤を認め,骨へは浸潤していなかった.血液検査では炎症反応陰性だった.悪性軟部腫瘍を疑い,針生検を2回施行したが悪性の所見を認めず,感染性肉芽(放線菌症)が疑われた.切除術を行ったところ,標本の組織培養で28日後に放線菌が認められ放線菌症と診断した.術後2週間ペニシリンG点滴,その後半年間アモキシシリン内服を継続した.その後再発を認めていない.【考察】放線菌症は浸潤性の広がりを見せるため悪性腫瘍と誤診されやすい.悪性軟部腫瘍を疑い生検し悪性所見が得られなかった場合,本疾患も鑑別に入れて長期間の培養提出が必要と考えられた. |
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| ISSN: | 0037-1033 1349-4333 |
| DOI: | 10.5035/nishiseisai.71.779 |