土木建造物の命名支援システムの開発

「1. はじめに」「文明」と「文化」という言葉はよく対比して用いられる. "civilization"の訳語である「文明」は, 高度な技術, そしてそれによって得られる物質的な所産を指す. 一方, "culture"の訳語である「文化」は, 目に見えない, 精神的なあるいは知恵の所産を指している. この分類で言えば, 物理的存在である土木建造物は文明ということになる. しかし, 言うまでもなく文明と文化は不可分なものである. 土木建造物は社会や価値といった文化の中で必要に応じて作られるものであるから, この点でも文明に属する土木建造物と文化は不可分なもの...

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Published in感性工学研究論文集 Vol. 5; no. 1; pp. 19 - 26
Main Authors 石原, 恵子, 石原, 茂和, 竹林, 征三, 長町, 三生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本感性工学会 2004
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ISSN1346-1958
1884-524X
DOI10.5057/jjske2001.5.19

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Summary:「1. はじめに」「文明」と「文化」という言葉はよく対比して用いられる. "civilization"の訳語である「文明」は, 高度な技術, そしてそれによって得られる物質的な所産を指す. 一方, "culture"の訳語である「文化」は, 目に見えない, 精神的なあるいは知恵の所産を指している. この分類で言えば, 物理的存在である土木建造物は文明ということになる. しかし, 言うまでもなく文明と文化は不可分なものである. 土木建造物は社会や価値といった文化の中で必要に応じて作られるものであるから, この点でも文明に属する土木建造物と文化は不可分なものである. 一方, 命名とはソシュールが言うところの「シーニュ=表記するための記号そのもの」, 「シニフィアン=言語の媒介する表現」および「シニフィエ=内在する意味」が一体となったような行為である. 言語が文化の中で大きな重要性をもつことを考えると, 具体物に対する命名という行為は, 単なる記号を産出することではなく, 作られる場所の文化, あるいは風土を投影するような名前を産み出すことでなければならないであろう.
ISSN:1346-1958
1884-524X
DOI:10.5057/jjske2001.5.19