小児上腕骨遠位T-condylar Fractureの1例

比較的稀な小児上腕骨遠位T-condylar fractureに対し手術を行った1例を報告する.患者は8歳男児.走っている際に転倒,右肘を打撲した.右肘外側に擦過創があり,神経血管損傷所見はなかった.単純X線は右上腕骨顆上骨折(Gertland 3A)に加え関節面へ骨折線があり,T-condylar fractureを呈していた.単純CTで遠位端の転位はわずかで内側皮質の多骨片化がみられた.手術は2本のKirschner鋼線(K-W)で顆間を固定し,3本のK-Wで遠位骨片と近位を固定した.術後は前腕回内位でギプス固定を行い,術後6週で抜線した.受傷後6ヶ月経過し,前腕回内・回外に健患差はないが...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 72; no. 2; pp. 221 - 224
Main Authors 向井, 順哉, 志田, 崇之, 宮坂, 悟
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.03.2023
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.72.221

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Summary:比較的稀な小児上腕骨遠位T-condylar fractureに対し手術を行った1例を報告する.患者は8歳男児.走っている際に転倒,右肘を打撲した.右肘外側に擦過創があり,神経血管損傷所見はなかった.単純X線は右上腕骨顆上骨折(Gertland 3A)に加え関節面へ骨折線があり,T-condylar fractureを呈していた.単純CTで遠位端の転位はわずかで内側皮質の多骨片化がみられた.手術は2本のKirschner鋼線(K-W)で顆間を固定し,3本のK-Wで遠位骨片と近位を固定した.術後は前腕回内位でギプス固定を行い,術後6週で抜線した.受傷後6ヶ月経過し,前腕回内・回外に健患差はないが,わずかな肘関節屈曲制限,生理的外反の減少があり,経過観察中である.本症例は内側皮質多骨片化と関節面へ骨折線があり,特に術後整復位損失が生じる可能性があった.小児上腕骨遠位T-condylar fractureは術中の固定力増加,過矯正,術後外固定の工夫等,術後内反肘変形のリスクを念頭に置き治療する必要がある.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.72.221