剣道競技における熟練選手の能動的反応選択と防御者の遅延反応

「V 要約」本研究では, 剣道の試合における攻撃の反応選択の熟練差を検討することを目的とした. そこでは, 処理方法について思考内容と知識活用を分析することに加え, 結果的な処理時間と防御者の正反応の開始時間, そして攻撃者の打突動作時間を分析することによって複合的な差異を検討した. 結果として, 技知識の活用頻度と防御者の正反応の開始時間に熟練差がみられた. 知識活用の結果は, 熟練群が技知識を活用して予測する能動的反応選択を繁用することを示していた. また, この反応選択は, 防御者の正反応を約100ms遅延させて攻撃の成功の可能性を高める上で重要になると考えられた. さらに, 技知識を頻...

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Published in体育学研究 Vol. 52; no. 3; pp. 245 - 257
Main Authors 奥村, 基生, 吉田, 茂
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本体育学会 2007
日本体育学会
Subjects
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ISSN0484-6710
1881-7718
DOI10.5432/jjpehss.0451

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Summary:「V 要約」本研究では, 剣道の試合における攻撃の反応選択の熟練差を検討することを目的とした. そこでは, 処理方法について思考内容と知識活用を分析することに加え, 結果的な処理時間と防御者の正反応の開始時間, そして攻撃者の打突動作時間を分析することによって複合的な差異を検討した. 結果として, 技知識の活用頻度と防御者の正反応の開始時間に熟練差がみられた. 知識活用の結果は, 熟練群が技知識を活用して予測する能動的反応選択を繁用することを示していた. また, この反応選択は, 防御者の正反応を約100ms遅延させて攻撃の成功の可能性を高める上で重要になると考えられた. さらに, 技知識を頻繁に活用することは知識活用を促進する認知的機能の効率を向上させる. 一方, 準熟練群は, 環境情報に瞬時に対応する受動的反応選択を採用することが多いと考えられた. すなわち, 剣道における攻撃では反応選択や動作の競技的な有効性を向上させるために, 主として技知識を検索し活用する能動的反応選択をすることが重要である.
ISSN:0484-6710
1881-7718
DOI:10.5432/jjpehss.0451