橈骨遠位端骨折に舟状月状骨靱帯損傷を合併した一例

【背景】比較的まれな橈骨遠位端骨折に舟状月状骨間靱帯損傷を合併した症例を経験したので報告する.【症例】75歳女性.自宅内で転倒受傷し当院搬送され,右橈骨遠位端骨折(Colles型)の診断となった.単純X線で舟状月状骨間離開,透視下で舟状月状骨間の不安定性を認め,舟状月状骨靭帯損傷を合併していた.手術は掌側ロッキングプレートにて骨接合後,舟状月状靭帯損傷に対して,K-wireを用いた整復固定(Joy stick法),及び4-0 PDSを用いた靭帯修復を行った.術後はリストサポーターを4週装着した.K-wire抜去後の術後16週時点の単純X線では舟状月状骨間に明らかな離開なく,経過良好である.【ま...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 72; no. 3; pp. 544 - 547
Main Authors 石橋, 正二郎, 高須, 博士, 屋良, 卓郎, 水内, 秀城, 徳丸, 達也, 上原, 航, 倉員, 太志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.2023
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.72.544

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Summary:【背景】比較的まれな橈骨遠位端骨折に舟状月状骨間靱帯損傷を合併した症例を経験したので報告する.【症例】75歳女性.自宅内で転倒受傷し当院搬送され,右橈骨遠位端骨折(Colles型)の診断となった.単純X線で舟状月状骨間離開,透視下で舟状月状骨間の不安定性を認め,舟状月状骨靭帯損傷を合併していた.手術は掌側ロッキングプレートにて骨接合後,舟状月状靭帯損傷に対して,K-wireを用いた整復固定(Joy stick法),及び4-0 PDSを用いた靭帯修復を行った.術後はリストサポーターを4週装着した.K-wire抜去後の術後16週時点の単純X線では舟状月状骨間に明らかな離開なく,経過良好である.【まとめ】橈骨遠位端骨折に合併する舟状月状骨靱帯損傷は,従来から報告されているが,低頻度かつ診断の困難さから見逃されやすい.靭帯損傷の見逃しは,手背(第3.4伸筋区画の間)の圧痛,手関節の腫脹,運動制限を生じる危険性があり,適切な診断と治療が必要である.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.72.544