観血的整復を必要とした骨折を伴わない外傷性股関節脱臼の一例
症例は18歳,男性.原付バイクで直進中に普通車と衝突して転倒.右股関節に強い疼痛あり屈曲内旋肢位,軽度の筋力低下,足背のしびれを認めた.X線で右股関節の後方脱臼を認め,3DCTで明らかな骨折はなかった.受傷後80分でAllis法による徒手整復をおこなった.整復後のX線は亜脱臼位であり,MRIのAxial像で整復を阻害する介在物を認めた.神経症状が改善していたため受傷後4日に観血的整復をおこなった.関節唇は中央部で臼蓋から剥離して嵌頓し整復阻害因子となっていた.エレバを用いて関節唇の頭尾側の連続性を温存しながら整復すると骨頭の良好な吸着性を得られた.術後1年の短期成績ではあるが,骨頭壊死や関節症...
Saved in:
Published in | 整形外科と災害外科 Vol. 70; no. 4; pp. 804 - 807 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
西日本整形・災害外科学会
25.09.2021
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0037-1033 1349-4333 |
DOI | 10.5035/nishiseisai.70.804 |
Cover
Summary: | 症例は18歳,男性.原付バイクで直進中に普通車と衝突して転倒.右股関節に強い疼痛あり屈曲内旋肢位,軽度の筋力低下,足背のしびれを認めた.X線で右股関節の後方脱臼を認め,3DCTで明らかな骨折はなかった.受傷後80分でAllis法による徒手整復をおこなった.整復後のX線は亜脱臼位であり,MRIのAxial像で整復を阻害する介在物を認めた.神経症状が改善していたため受傷後4日に観血的整復をおこなった.関節唇は中央部で臼蓋から剥離して嵌頓し整復阻害因子となっていた.エレバを用いて関節唇の頭尾側の連続性を温存しながら整復すると骨頭の良好な吸着性を得られた.術後1年の短期成績ではあるが,骨頭壊死や関節症変化が無く経過良好である.骨折を伴わない外傷性股関節脱臼が徒手整復困難もしくは亜脱臼位までしか整復できない場合,関節唇などの軟部組織損傷が整復阻害因子である可能性を念頭に置き観血的整復を検討する必要がある. |
---|---|
ISSN: | 0037-1033 1349-4333 |
DOI: | 10.5035/nishiseisai.70.804 |