思春期後期の生徒における加速および全力疾走能力と各種ジャンプ力および脚筋力との関係

「I 緒言」ヒトの走運動は18ケ月以降に発現し, その能力は加齢とともに男子で17歳, 女子で13歳頃まで発達した後, 停滞を迎えることが報告されている(加藤, 2004). 加齢に伴う疾走速度の発達要因は, 下肢長の増加に伴って歩幅が増加するという斉藤・伊藤(1995)の示唆に基づけば, 発育発達期における疾走能力は形態の経年変化に強い影響を受けていると考えられる. 事実, 年度毎の身長増加率は, 男子で16歳, 女子で14歳頃になると1%以下という低水準を示す(文部科学省, 2005a). このことは, 先に示した疾走能力の発達が停滞を示す年齢と類似するものである. 形態の変化に伴う疾走能...

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Published in体育学研究 Vol. 53; no. 1; pp. 1 - 10
Main Authors 北田, 耕司, 西薗, 秀嗣, 図子, 浩二, 川原, 繁樹, 山本, 正嘉, 岩竹, 淳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本体育学会 2008
日本体育学会
Subjects
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ISSN0484-6710
1881-7718
DOI10.5432/jjpehss.0491

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Summary:「I 緒言」ヒトの走運動は18ケ月以降に発現し, その能力は加齢とともに男子で17歳, 女子で13歳頃まで発達した後, 停滞を迎えることが報告されている(加藤, 2004). 加齢に伴う疾走速度の発達要因は, 下肢長の増加に伴って歩幅が増加するという斉藤・伊藤(1995)の示唆に基づけば, 発育発達期における疾走能力は形態の経年変化に強い影響を受けていると考えられる. 事実, 年度毎の身長増加率は, 男子で16歳, 女子で14歳頃になると1%以下という低水準を示す(文部科学省, 2005a). このことは, 先に示した疾走能力の発達が停滞を示す年齢と類似するものである. 形態の変化に伴う疾走能力の発達が期待できないと考えられる16歳を対象として, 50m走の記録を横断的に調査した報告(文部科学省, 2005b)では, 20年前に比較して男女とも記録の低下が示されている. つまり, 形態的要因の発育が停滞する思春期後期の生徒に対して疾走能力を改善しようとするならば, 形態的要因以外の要因で疾走能力の改善を目指す必要があると考えられる.
ISSN:0484-6710
1881-7718
DOI:10.5432/jjpehss.0491