一本の馬尾に蔓状に発生した長大な神経鞘腫の一例

馬尾に多発する腫瘍を認めたが,一本の馬尾に蔓状に発生した長大な神経鞘腫であった.症例は70歳男性,1年前より両下肢のしびれと重だるさあり,徐々に歩行困難となった.MRIでL2-L4高位の馬尾にT1 low,T2 low~iso,造影効果のある大小不同の多発する腫瘍を認め,術中所見は一本の馬尾から蔓状に多発した全長約7 cmの腫瘍であった.根糸を切除し一塊に摘出,病理診断は神経鞘腫であった.術後に神経脱落症状はみられず歩行障害や頻尿は改善した.神経鞘腫が多発した場合,Neurofibromatosis type 2:以下NF2(神経線維腫症2型)およびSchwannomatosis(神経鞘腫症)...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 70; no. 4; pp. 721 - 724
Main Authors 巽, 政人, 眞田, 京一, 大田, 秀樹, 井口, 洋平, 萩原, 秀祐, 松本, 佳之, 木田, 吉城, 竹光, 義治, 田原, 健一, 柴田, 達也, 木田, 浩隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.2021
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.70.721

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Summary:馬尾に多発する腫瘍を認めたが,一本の馬尾に蔓状に発生した長大な神経鞘腫であった.症例は70歳男性,1年前より両下肢のしびれと重だるさあり,徐々に歩行困難となった.MRIでL2-L4高位の馬尾にT1 low,T2 low~iso,造影効果のある大小不同の多発する腫瘍を認め,術中所見は一本の馬尾から蔓状に多発した全長約7 cmの腫瘍であった.根糸を切除し一塊に摘出,病理診断は神経鞘腫であった.術後に神経脱落症状はみられず歩行障害や頻尿は改善した.神経鞘腫が多発した場合,Neurofibromatosis type 2:以下NF2(神経線維腫症2型)およびSchwannomatosis(神経鞘腫症)との鑑別も必要であるが,本症例は一本の神経に多発した腫瘍であった.易腫瘍化とみなすかは異論があるが,今後も再発や他部位での腫瘍化に注意し経過観察を行う必要がある.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.70.721