鎖骨頭蓋骨異形成症に両側中大脳動脈瘤を合併した1 例

鎖骨頭蓋骨異形成症(cleidocranial dysplasia: CCD)は,発症率が約20 万人に1 人とされる比較的稀な先天性の骨系統疾患である.今回,本症候群に両側中大脳動脈瘤を合併した症例を経験したので報告する.症例は87 歳,女性で,歩行障害を主訴に来院した.CT 上,左脳内出血・左シルビウス裂のくも膜下出血を認め,3DCTA にて両側中大脳動脈瘤を認めた.また初診時の特異な顔貌・体躯,レントゲン検査・骨条件の3DCT からCCD と診断した.左中大脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血を疑い,同部のクリッピング術を行ったが,術中所見では未破裂であり,外傷性のくも膜下出血であったと判断し...

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Published in脳卒中 Vol. 40; no. 3; pp. 205 - 209
Main Authors 小林, 亨, 村上, 友太, 後藤, 健
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2018
日本脳卒中学会
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.10612

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Summary:鎖骨頭蓋骨異形成症(cleidocranial dysplasia: CCD)は,発症率が約20 万人に1 人とされる比較的稀な先天性の骨系統疾患である.今回,本症候群に両側中大脳動脈瘤を合併した症例を経験したので報告する.症例は87 歳,女性で,歩行障害を主訴に来院した.CT 上,左脳内出血・左シルビウス裂のくも膜下出血を認め,3DCTA にて両側中大脳動脈瘤を認めた.また初診時の特異な顔貌・体躯,レントゲン検査・骨条件の3DCT からCCD と診断した.左中大脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血を疑い,同部のクリッピング術を行ったが,術中所見では未破裂であり,外傷性のくも膜下出血であったと判断した.術後経過は問題なく,発症前のADL と変わらずに自宅退院した.CCDに脳動脈瘤を合併した報告はこれまで1 例のみであり,本症例は極めて稀な症例であると思われた.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.10612