心腔内血栓と塞栓性脳梗塞を来した先天性プロテインC欠損症と考えられた1例

要旨:症例は44歳男性.言葉がうまく出てこないことを主訴に救急外来を受診した.頭部MRIでは左中大脳動脈領域に塞栓性脳梗塞所見を認めた.経胸壁心臓超音波検査で左心室心尖部に血栓所見を認めた.左心室収縮能は概ね正常であった.抗凝固療法開始後,血栓は縮小を認め,最終的に消失した.血液凝固線溶系異常を精査したところ,プロテインC抗原量43%,プロテインC活性39%と低下していた.遺伝子検索はされなかったが,年齢や稀な部位に血栓形成を認めたことから,先天性プロテインC欠損症と考えられた.先天性プロテインC欠損症は非常に稀ではあるが,心腔内血栓,塞栓性脳梗塞の原因となりうることを考慮する必要がある....

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Published in脳卒中 Vol. 43; no. 3; pp. 221 - 225
Main Authors 伊藤, 瑞規, 赤塚, 和寛, 服部, 直樹, 冨田, 稔, 森, 悠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2021
日本脳卒中学会
Subjects
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.10809

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Summary:要旨:症例は44歳男性.言葉がうまく出てこないことを主訴に救急外来を受診した.頭部MRIでは左中大脳動脈領域に塞栓性脳梗塞所見を認めた.経胸壁心臓超音波検査で左心室心尖部に血栓所見を認めた.左心室収縮能は概ね正常であった.抗凝固療法開始後,血栓は縮小を認め,最終的に消失した.血液凝固線溶系異常を精査したところ,プロテインC抗原量43%,プロテインC活性39%と低下していた.遺伝子検索はされなかったが,年齢や稀な部位に血栓形成を認めたことから,先天性プロテインC欠損症と考えられた.先天性プロテインC欠損症は非常に稀ではあるが,心腔内血栓,塞栓性脳梗塞の原因となりうることを考慮する必要がある.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.10809