運転中の心原性脳塞栓症発症により交通事故を起こし,脳梗塞に対するrt-PA 静注療法中に縦隔血腫を来した1 例

要旨:交通事故で救急搬送された際に左片麻痺を認め,頭部MRI で右中大脳動脈M1 閉塞による脳梗塞と診断し,rt-PA 静注療法中に縦隔血腫を来した症例である.体幹部単純CT 検査で骨折や出血がないことを確認し,軽症の外傷と判断し,最終未発症時刻から1 時間30 分後にrt-PA 静注療法を開始した.治療開始後に前胸部痛を訴え,造影CT 検査で前縦隔に血腫を認めた.rt-PA 静注療法は中止し,脳血管内治療に変更した.右中大脳動脈は再開通しており,両側内胸動脈から造影剤の漏出を認め,コイル塞栓術を行った.軽微な外傷にみえてもrt-PA 静注療法により重篤な出血を来す可能性があり,血管損傷が疑わ...

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Published in脳卒中 Vol. 41; no. 2; pp. 111 - 114
Main Authors 松本, 俊一, 鳥山, 敬祐, 山田, 猛, 田中, 恵理, 川尻, 真和, 中垣, 英明, 入江, 研一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2019
日本脳卒中学会
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.10573

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Summary:要旨:交通事故で救急搬送された際に左片麻痺を認め,頭部MRI で右中大脳動脈M1 閉塞による脳梗塞と診断し,rt-PA 静注療法中に縦隔血腫を来した症例である.体幹部単純CT 検査で骨折や出血がないことを確認し,軽症の外傷と判断し,最終未発症時刻から1 時間30 分後にrt-PA 静注療法を開始した.治療開始後に前胸部痛を訴え,造影CT 検査で前縦隔に血腫を認めた.rt-PA 静注療法は中止し,脳血管内治療に変更した.右中大脳動脈は再開通しており,両側内胸動脈から造影剤の漏出を認め,コイル塞栓術を行った.軽微な外傷にみえてもrt-PA 静注療法により重篤な出血を来す可能性があり,血管損傷が疑われた場合は迅速な病態評価が求められる.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.10573