高度屈曲内頸動脈に浮動性血栓を認めた心原性脳塞栓症の1 例

79 歳男性.発症時間不明の右片麻痺,全失語を発症した.NIHSS 14 点.心電図上は心房細動を認めた.MRI 拡散強調画像では左中大脳動脈領域の散在性脳梗塞,MRA では左内頸動脈領域に若干の信号強度低下を認めた.頸動脈エコーでは左内頸動脈起始部に浮動性血栓と高度狭窄の所見を認め,内頸動脈浮動性血栓による脳梗塞と診断された.血管造影検査では両側内頸動脈の強い屈曲と左内頸動脈起始部に浮動性血栓を認めたが,順行性血流は保たれていた.屈曲血管に血栓がトラップされた状態となっており,脳梗塞再発予防のため血栓回収療法を行うこととした.Proximal flow control として血栓を回収し,T...

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Published in脳卒中 Vol. 40; no. 1; pp. 19 - 23
Main Authors 平田, 浩二, 滝川, 知司, 山本, 哲哉, 松村, 明, 丸島, 愛樹, 鶴田, 和太郞, 原, 拓真, 伊藤, 嘉朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2018
日本脳卒中学会
Subjects
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.10486

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Summary:79 歳男性.発症時間不明の右片麻痺,全失語を発症した.NIHSS 14 点.心電図上は心房細動を認めた.MRI 拡散強調画像では左中大脳動脈領域の散在性脳梗塞,MRA では左内頸動脈領域に若干の信号強度低下を認めた.頸動脈エコーでは左内頸動脈起始部に浮動性血栓と高度狭窄の所見を認め,内頸動脈浮動性血栓による脳梗塞と診断された.血管造影検査では両側内頸動脈の強い屈曲と左内頸動脈起始部に浮動性血栓を認めたが,順行性血流は保たれていた.屈曲血管に血栓がトラップされた状態となっており,脳梗塞再発予防のため血栓回収療法を行うこととした.Proximal flow control として血栓を回収し,TICI 2b で手技を終了した.術翌日のMRI では梗塞巣の拡大はなく,神経症状の悪化も見られなかった.頸動脈の屈曲は稀な形態異常ではないが,血栓が屈曲血管にトラップされて順行性の血流が維持されることはきわめて稀である.屈曲血管においては有効血管径が実際の血管径よりも狭小化することが今回の発症機序に関わったものと考えられた.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.10486