難聴の遺伝子診断

2008年7月に「先天性難聴の遺伝子診断」が先進医療として承認され臨床診療として実施できることになった。先天性難聴の少なくとも50%は遺伝子の関与によるものと推測されており, 現在までに数十の原因遺伝子が同定されてきている。原因遺伝子によって発症時期, 進行性, 前庭症状, 随伴症状が異なることから, 遺伝子診断は難聴の正確な診断, 治療法の選択, 予後の推測, 合併症の予測, さらには予防や遺伝カウンセリングといったものに関して重要な情報を提供してくれるようになってきた。今後数年のうちに難聴の分類は原因遺伝子ごとに再分類されていき, 難聴患者に対する個別化医療が進んでいくと思われる。それに伴...

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Published inAUDIOLOGY JAPAN Vol. 54; no. 1; pp. 44 - 55
Main Author 宇佐美, 真一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本聴覚医学会 2011
日本聴覚医学会
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ISSN0303-8106
1883-7301
DOI10.4295/audiology.54.44

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Summary:2008年7月に「先天性難聴の遺伝子診断」が先進医療として承認され臨床診療として実施できることになった。先天性難聴の少なくとも50%は遺伝子の関与によるものと推測されており, 現在までに数十の原因遺伝子が同定されてきている。原因遺伝子によって発症時期, 進行性, 前庭症状, 随伴症状が異なることから, 遺伝子診断は難聴の正確な診断, 治療法の選択, 予後の推測, 合併症の予測, さらには予防や遺伝カウンセリングといったものに関して重要な情報を提供してくれるようになってきた。今後数年のうちに難聴の分類は原因遺伝子ごとに再分類されていき, 難聴患者に対する個別化医療が進んでいくと思われる。それに伴い近い将来難聴の医療にとって遺伝子診断は欠かせないものになることが予想される。
ISSN:0303-8106
1883-7301
DOI:10.4295/audiology.54.44