リードレスペースメーカ植込み後の急性期および長期成績

恒久ペースメーカ植込み時の合併症や課題の多くは経静脈リードに関連している。Leadless pacemaker(LPM : リードレスペースメーカ)植込後早期の良好な治療成績は報告されているが,本研究ではLPM植込み後の電気的指標を計測し長期成績を評価した。 方法 : 当院にてLPMを植込んだ徐脈性不整脈患者を,植込み後最長5年間経過観察した。 結果 : 対象は51例(年齢 ; 79±9歳,男性 ; 32例[64%],房室ブロック ; 25例[49%],洞不全症候群 ; 26例[51%],心房細動合併 ; 38例[75%])である。心筋損傷リスク因子総数の中央値は2項目であり,心筋穿孔や心嚢液...

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Published in杏林医学会雑誌 Vol. 51; no. 4; pp. 257 - 263
Main Authors 百瀬, 裕一, 上田, 明子, 勝目, 有美, 副島, 京子, 佐藤, 俊明, 毛利, 崇人, 冨樫, 郁子, 星田, 京子, 三輪, 陽介, 田代, 身佳, 野々口, 紀子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 杏林医学会 25.12.2020
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ISSN0368-5829
1349-886X
DOI10.11434/kyorinmed.51.257

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Summary:恒久ペースメーカ植込み時の合併症や課題の多くは経静脈リードに関連している。Leadless pacemaker(LPM : リードレスペースメーカ)植込後早期の良好な治療成績は報告されているが,本研究ではLPM植込み後の電気的指標を計測し長期成績を評価した。 方法 : 当院にてLPMを植込んだ徐脈性不整脈患者を,植込み後最長5年間経過観察した。 結果 : 対象は51例(年齢 ; 79±9歳,男性 ; 32例[64%],房室ブロック ; 25例[49%],洞不全症候群 ; 26例[51%],心房細動合併 ; 38例[75%])である。心筋損傷リスク因子総数の中央値は2項目であり,心筋穿孔や心嚢液貯留,脱落,動静脈瘻などの急性期主要合併症は認めなかった。植込み後平均21.5ヶ月の経過観察中にLPM関連死はなかった。1例では植込み54ヶ月後に心不全が進行し,心臓再同期療法へのアップグレード手術を施行した。全ての患者において電気的指標(右室捕捉閾値,右室波高,抵抗値)は安定しており,慢性期の閾値上昇,早期電池消耗による再手術やデバイス感染の合併はなかった。 結論 : LPM植込み後急性期主要合併症は認めず,最長5年の慢性期においても測定値は安定していた。LPMは,徐脈性不整脈に対する新しい治療で,長期的にも安定した治療成績を有することが示された。
ISSN:0368-5829
1349-886X
DOI:10.11434/kyorinmed.51.257