雑音下聴取困難スクリーニング検査の開発
要旨: 純音聴力は正常であるが, 日常生活において聴き取りに困難が生じる聴覚情報処理障害 (APD) によって, 小児は学習面や対人関係面に二次的問題を生じることが多く, 早期発見が求められている。しかし我が国ではその定義や評価法, 支援法が定まっていない。本研究では APD の一症状である雑音下聴取に注目し, 早期発見に寄与する「雑音下聴取困難スクリーニング検査 (LINDS) 」の開発を目的とした。87名の一般対象児において, 雑音の程度の異なる 4種の音源の正答率をそれぞれ分析した結果, 付加雑音が大きくなるにつれて正答率が低下し, ばらつきが大きくなることが確認された。一般対象児の分析...
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Published in | AUDIOLOGY JAPAN Vol. 62; no. 6; pp. 615 - 621 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本聴覚医学会
28.12.2019
日本聴覚医学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0303-8106 1883-7301 |
DOI | 10.4295/audiology.62.615 |
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Summary: | 要旨: 純音聴力は正常であるが, 日常生活において聴き取りに困難が生じる聴覚情報処理障害 (APD) によって, 小児は学習面や対人関係面に二次的問題を生じることが多く, 早期発見が求められている。しかし我が国ではその定義や評価法, 支援法が定まっていない。本研究では APD の一症状である雑音下聴取に注目し, 早期発見に寄与する「雑音下聴取困難スクリーニング検査 (LINDS) 」の開発を目的とした。87名の一般対象児において, 雑音の程度の異なる 4種の音源の正答率をそれぞれ分析した結果, 付加雑音が大きくなるにつれて正答率が低下し, ばらつきが大きくなることが確認された。一般対象児の分析より設定されたカットオフポイントは, 2 例の臨床事例においても適用が有効であった。LINDS は短時間で学校における集団実施も可能であり, 純音聴力検査では捉えることのできない雑音下聴取困難をスクリーニングする検査として有用であると考えられた。 |
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ISSN: | 0303-8106 1883-7301 |
DOI: | 10.4295/audiology.62.615 |