Wrapping and coating施行後遅発性動脈狭窄により脳梗塞を呈した未破裂脳動脈瘤の1症例

症例は58歳男性.画像診断にて右内頸-前脈絡叢動脈瘤を指摘され,術中運動誘発電位(MEP)モニタリング下に,開頭clipping術を予定した.しかし,術中clipをかけることによりMEPが消失したため,Bemsheet®を使用したwrapping and coatingのみを施行し終刀した.術後の経過は良好で,新たな神経脱落症状も認めず1週間後自宅退院となった.手術約2カ月後,発熱に続く左半身不全麻痺を主訴に外来受診.頭部MRI/MRAにて右前脈絡叢動脈灌流領域に脳梗塞像,および右内頸動脈の狭窄を認めた.入院後梗塞巣周囲に浮腫が出現,見当識障害を呈した.手術材料による血管炎を疑いステロイドおよ...

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Published in脳卒中 Vol. 33; no. 5; pp. 524 - 531
Main Authors 小野, 純一, 永野, 修, 沖山, 幸一, 佐伯, 直勝, 町田, 利生, 水橋, 里弥, 藤川, 厚
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2011
日本脳卒中学会
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.33.524

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Summary:症例は58歳男性.画像診断にて右内頸-前脈絡叢動脈瘤を指摘され,術中運動誘発電位(MEP)モニタリング下に,開頭clipping術を予定した.しかし,術中clipをかけることによりMEPが消失したため,Bemsheet®を使用したwrapping and coatingのみを施行し終刀した.術後の経過は良好で,新たな神経脱落症状も認めず1週間後自宅退院となった.手術約2カ月後,発熱に続く左半身不全麻痺を主訴に外来受診.頭部MRI/MRAにて右前脈絡叢動脈灌流領域に脳梗塞像,および右内頸動脈の狭窄を認めた.入院後梗塞巣周囲に浮腫が出現,見当識障害を呈した.手術材料による血管炎を疑いステロイドおよびグリセオールの投与を施行し炎症所見は改善したが,左半身不全麻痺,高次脳機能障害が後遺した.本症例は手術の際に使用したBemsheet®により遅発性動脈狭窄が誘発されたと考えられ,今後はより安全なwrapping and coating材の検討が必要と考えられる.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.33.524