難聴学級に在籍する人工内耳装用児に対する支援の実態

小学校の難聴特別支援学級に在籍する人工内耳装用児に対する支援の実態を調査した。対象は6名の人工内耳装用児とその保護者, 難聴学級の担任教師である。保護者と難聴学級の担任教師に対し, 学校での子どもの姿と教育上の配慮及び支援について聴き取り調査を行なった上で授業参観を行い, 子どもの姿と教育上の配慮及び支援の実態を観察した。 学校では, FM補聴システムの使用や, 個々の子どもに応じて筆記, 手話, 口頭で繰り返して伝えるという手段を用いて情報保障が行われ, 教育上の配慮・支援は概ねなされていると考えられた。しかし, 学校生活を送る上で, 子どもの聞こえと聴覚的理解, 語彙力・文章理解力, 障害...

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Published inAUDIOLOGY JAPAN Vol. 55; no. 2; pp. 118 - 125
Main Authors 山下, 裕司, 中津, 愛子, 池田, 卓生, 下郡, 博明, 菅原, 一真, 橋本, 誠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本聴覚医学会 2012
日本聴覚医学会
Subjects
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ISSN0303-8106
1883-7301
DOI10.4295/audiology.55.118

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Summary:小学校の難聴特別支援学級に在籍する人工内耳装用児に対する支援の実態を調査した。対象は6名の人工内耳装用児とその保護者, 難聴学級の担任教師である。保護者と難聴学級の担任教師に対し, 学校での子どもの姿と教育上の配慮及び支援について聴き取り調査を行なった上で授業参観を行い, 子どもの姿と教育上の配慮及び支援の実態を観察した。 学校では, FM補聴システムの使用や, 個々の子どもに応じて筆記, 手話, 口頭で繰り返して伝えるという手段を用いて情報保障が行われ, 教育上の配慮・支援は概ねなされていると考えられた。しかし, 学校生活を送る上で, 子どもの聞こえと聴覚的理解, 語彙力・文章理解力, 障害認識・障害理解についての問題点が明らかになった。今後は, 聞こえと聴覚的理解についての保護者と教師の共通認識, 当科と学校との連携による言語指導, 周囲の子どもたちに人工内耳装用児への理解を深めるための指導が必要であると考えられる。
ISSN:0303-8106
1883-7301
DOI:10.4295/audiology.55.118