大学生の保健行動と活動―状態指向性の関連

本研究の目的は, 活動―状態指向性 (活動を統制する個人の特性) と保健行動の関連を検討することである.活動指向性とは意図が行動に移されやすい転移型の統制であり, 状態指向性とは意図を抑制する事によって現在の状態を維持する内的抑制型の統制である. 調査は2004年7月に大学生339名を対象として実施した.調査には日本語版Action control scale (ACS90) と保健行動チェックリストを用いた.日本語版ACS90は3つの下位尺度 (とらわれ性, 躊躇性, 移り気性) から成り, 保健行動チェックリストは4因子 (健康管理, 生活の規則性とタバコ, 休息, 嗜好と食生活) から構...

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Published inJapanese Journal of Health Education and Promotion Vol. 16; no. 2; pp. 41 - 48
Main Authors 佐久間, 夕美子, 佐藤, 千史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本健康教育学会 2008
JAPANESE SOCIETY OF HEALTH EDUCATION AND PROMOTION
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ISSN1340-2560
1884-5053
DOI10.11260/kenkokyoiku1993.16.41

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Summary:本研究の目的は, 活動―状態指向性 (活動を統制する個人の特性) と保健行動の関連を検討することである.活動指向性とは意図が行動に移されやすい転移型の統制であり, 状態指向性とは意図を抑制する事によって現在の状態を維持する内的抑制型の統制である. 調査は2004年7月に大学生339名を対象として実施した.調査には日本語版Action control scale (ACS90) と保健行動チェックリストを用いた.日本語版ACS90は3つの下位尺度 (とらわれ性, 躊躇性, 移り気性) から成り, 保健行動チェックリストは4因子 (健康管理, 生活の規則性とタバコ, 休息, 嗜好と食生活) から構成される.活動一状態指向性と保健行動の関連については, ロジスティックモデルによりオッズ比 (OR) と95%信頼区間 (95%CI) を求めた.その結果, 女性は男性よりも食習慣に関して保健行動を行っていた.活動―状態指向性では, 躊躇性は保健行動チェックリストの4因子全てと関連し, 意図を行動に移しやすい傾向をもつ人は保健行動をよく行っていると考えられた.一方, とらわれ性は健康管理の因子と関連し, ネガティブな感情のコントロールや頭の切り替えの早さも保健行動と関連すると考えられた.このことから, 保健行動と活動一状態指向性は関連することが示唆された.今後は疾患や健康問題をもつ者における活動―状態指向性の役割についてさらに検討する必要がある.
ISSN:1340-2560
1884-5053
DOI:10.11260/kenkokyoiku1993.16.41