食道癌患者におけるサルコペニアの意義
癌患者におけるサルコペニアの臨床的意義について注目されている。今回,食道癌切除例において術前サルコペニアが術後成績に与える影響について検討した。当科における食道癌手術を行った124例を対象に,サルコペニアを腹部CT画像における第3腰椎レベルの大腰筋断面積から定義し,術後合併症と予後について検討した。術前のサルコペニアの割合は77例(62%)で,男性,BMI 20未満に多く,進行癌の頻度が高かった。術後合併症は,手術部位感染(SSI)が25例(32.4%),感染性合併症が31例(40.2%)とサルコペニア群で有意に多かった。全術後合併症が有意に多く有意なリスク因子であった。長期予後は無再発生存率...
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Published in | 日本外科感染症学会雑誌 Vol. 18; no. 2; pp. 298 - 303 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本外科感染症学会
15.12.2021
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Subjects | |
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ISSN | 1349-5755 2434-0103 |
DOI | 10.24679/gekakansen.18.2_298 |
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Summary: | 癌患者におけるサルコペニアの臨床的意義について注目されている。今回,食道癌切除例において術前サルコペニアが術後成績に与える影響について検討した。当科における食道癌手術を行った124例を対象に,サルコペニアを腹部CT画像における第3腰椎レベルの大腰筋断面積から定義し,術後合併症と予後について検討した。術前のサルコペニアの割合は77例(62%)で,男性,BMI 20未満に多く,進行癌の頻度が高かった。術後合併症は,手術部位感染(SSI)が25例(32.4%),感染性合併症が31例(40.2%)とサルコペニア群で有意に多かった。全術後合併症が有意に多く有意なリスク因子であった。長期予後は無再発生存率がサルコペニア群で有意に不良であったが,全生存率には有意差は認めなかった。食道癌手術患者における術前サルコペニア状態は感染性合併症の高リスクで慎重な周術期管理を要する。 |
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ISSN: | 1349-5755 2434-0103 |
DOI: | 10.24679/gekakansen.18.2_298 |