林知己夫の目指したQOL 研究とその後の展望

「1. はじめに」Quality of Life(QOL)は, Patient-Reported Outcome(PRO)研究が多く実施されるなか, 特にがん患者を対象とした研究において, 生存率や奏効率といった医療評価に加え, 患者の主観的な評価指標として重要である. 患者目線の治療を実現するには, 患者自身による評価を治療評価に加えて検討していく必要がある. そして, 患者の主観的評価指標の有用性を医療者, 患者, 家族に認識してもらうことが重要となる. しかしながら, 診療情報から得られる客観的データや医療者による評価を用いた研究と比べ, 患者自身が報告するアウトカムであるQOLを評価す...

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Published in行動計量学 Vol. 45; no. 2; pp. 127 - 134
Main Authors 松田, 彩子, 山岡, 和枝, 小林, 国彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本行動計量学会 2018
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ISSN0385-5481
1880-4705
DOI10.2333/jbhmk.45.127

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Summary:「1. はじめに」Quality of Life(QOL)は, Patient-Reported Outcome(PRO)研究が多く実施されるなか, 特にがん患者を対象とした研究において, 生存率や奏効率といった医療評価に加え, 患者の主観的な評価指標として重要である. 患者目線の治療を実現するには, 患者自身による評価を治療評価に加えて検討していく必要がある. そして, 患者の主観的評価指標の有用性を医療者, 患者, 家族に認識してもらうことが重要となる. しかしながら, 診療情報から得られる客観的データや医療者による評価を用いた研究と比べ, 患者自身が報告するアウトカムであるQOLを評価する研究は, 患者の状態に影響され欠測が生じやすいため(小林, 2010), 現状では実施の課題となりえる. 臨床研究において, 患者の主観的なQOLを評価するための調査票は, 信頼性および妥当性の示されたものを採用することが必須であると考える.
ISSN:0385-5481
1880-4705
DOI:10.2333/jbhmk.45.127