家族関係尺度の構成とその階層的因子構造について

「1. 問題」「1.1 社会関係のデータ構造」家族は, 社会心理学にとって非常に興味深い研究対象である. その主立った特徴として, 他の社会集団に比べて明確な境界を持ち, 密な関係で, 時系列的に大きく変化していくという点が挙げられる. これらの特徴はいずれも, 集団力学が研究の中心問題としてきたものであった. しかし, 集団力学の研究の多くは産業界におけるものが中心で, 家族のような私的な集団に対して系統立った研究はほとんど見られない. また, 集団を扱う研究が, 対人魅力やリーダーシップ特性など個人的指標に傾倒している. 昨今は研究分野自体が縮小してしまったようであるが, その本質的な原因...

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Published in行動計量学 Vol. 38; no. 1; pp. 93 - 99
Main Authors 小杉, 考司, 藤澤, 隆史, 清水, 裕士, 藤澤, 等, 石盛, 真徳, 渡邊, 太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本行動計量学会 2011
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ISSN0385-5481
1880-4705
DOI10.2333/jbhmk.38.93

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Summary:「1. 問題」「1.1 社会関係のデータ構造」家族は, 社会心理学にとって非常に興味深い研究対象である. その主立った特徴として, 他の社会集団に比べて明確な境界を持ち, 密な関係で, 時系列的に大きく変化していくという点が挙げられる. これらの特徴はいずれも, 集団力学が研究の中心問題としてきたものであった. しかし, 集団力学の研究の多くは産業界におけるものが中心で, 家族のような私的な集団に対して系統立った研究はほとんど見られない. また, 集団を扱う研究が, 対人魅力やリーダーシップ特性など個人的指標に傾倒している. 昨今は研究分野自体が縮小してしまったようであるが, その本質的な原因の1つは, 理論に基づく方法論が欠如していたことである. メンバーの相互依存性に基づいた力動的全体(dynamic whole)としての"集団全体"をどのように測定し, 予測や制御をするかという問題は, どのようにデータを収集するかという方法論とセットで解決しなければならないものである.
ISSN:0385-5481
1880-4705
DOI:10.2333/jbhmk.38.93