術後にセラミック骨頭の破損を生じたCeramic-on-Polyethylene THAの1例

39歳,男性.右THAを施行した6年後,縁石を乗り越え着地した時に足が滑り右股関節に衝撃がかかった.2日後,座った際に軋むような音と右股関節痛を自覚し,翌日当科を受診した.画像所見よりセラミック骨頭の破損と診断し,再置換術を施行した.術中所見では多数のセラミック破片とメタローシスを認めた.破片の解析では,初回手術時の嵌合不良や異物嵌入を示す所見はなく,経過中に嵌合のずれが生じて破損に至った可能性が示唆された.要因として,活動性の高さや肥満の他,ロングネックの使用により,荷重による骨頭への回転モーメントが嵌合部を引き離す力・接合面へてこの作用として働いた可能性が考えられた.本症例のように,THA...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 72; no. 1; pp. 15 - 18
Main Authors 増田, 圭吾, 菊池, 直士, 原野, 理沙, 中村, 良, 鶴, 翔平, 阿久根, 広宣, 岩﨑, 元気, 井上, 三四郎, 藤井, 勇輝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.03.2023
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.72.15

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Summary:39歳,男性.右THAを施行した6年後,縁石を乗り越え着地した時に足が滑り右股関節に衝撃がかかった.2日後,座った際に軋むような音と右股関節痛を自覚し,翌日当科を受診した.画像所見よりセラミック骨頭の破損と診断し,再置換術を施行した.術中所見では多数のセラミック破片とメタローシスを認めた.破片の解析では,初回手術時の嵌合不良や異物嵌入を示す所見はなく,経過中に嵌合のずれが生じて破損に至った可能性が示唆された.要因として,活動性の高さや肥満の他,ロングネックの使用により,荷重による骨頭への回転モーメントが嵌合部を引き離す力・接合面へてこの作用として働いた可能性が考えられた.本症例のように,THA術後のセラミック骨頭の破損に対しては,インプラントの設置位置とオリエンテーションを評価した上で,徹底的なデブリードマンを行い,アダプタースリーブを装着しセラミック骨頭への置換を行うべきである.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.72.15