脳卒中に合併する顎関節脱臼の臨床像

目的:顎関節脱臼は神経疾患に起因することがあるが,その認知度は低い.今回,脳卒中における顎関節脱臼の臨床像を明らかにし,患者管理に活用するため自験例を検討した. 方法:当センター歯科外来病歴データベースより該当症例を抽出・検討した. 結果:10例の成人脳卒中患者(片麻痺6例,四肢麻痺3例,運動麻痺1例)に顎関節脱臼がみられた.脱臼は片側性2例,両側性8例であった.脳卒中発症から12日∼9カ月(平均94.1日)で発症しており,9例は用手整復・外固定で寛解したが,1例は整復手術を要した. 結論:下顎骨を顎関節に引き上げる閉口筋は,咬筋・側頭筋・内側翼突筋であり,これらは核上部では両側支配の三叉神経...

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Published in脳卒中 Vol. 31; no. 4; pp. 251 - 255
Main Authors 高橋, 素彦, 山本, 勇夫, 中山, 賢司, 清水, 曉, 萩原, 宏之, 廣田, 誠, 藤井, 清孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2009
日本脳卒中学会
Subjects
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.31.251

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Summary:目的:顎関節脱臼は神経疾患に起因することがあるが,その認知度は低い.今回,脳卒中における顎関節脱臼の臨床像を明らかにし,患者管理に活用するため自験例を検討した. 方法:当センター歯科外来病歴データベースより該当症例を抽出・検討した. 結果:10例の成人脳卒中患者(片麻痺6例,四肢麻痺3例,運動麻痺1例)に顎関節脱臼がみられた.脱臼は片側性2例,両側性8例であった.脳卒中発症から12日∼9カ月(平均94.1日)で発症しており,9例は用手整復・外固定で寛解したが,1例は整復手術を要した. 結論:下顎骨を顎関節に引き上げる閉口筋は,咬筋・側頭筋・内側翼突筋であり,これらは核上部では両側支配の三叉神経運動枝に支配される.しかし片側脳卒中であっても閉口筋力が低下することはあり,閉口筋の機能には両側神経支配が揃うことが不可欠である.稀ながら顎関節脱臼が,脳卒中後の閉口筋力低下によることがあり,早期の発見・整復のためこれを銘記する必要がある.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.31.251