アンジオテンシンII 受容体過剰発現マウスの食塩負荷による糸球体増殖変化に対するサイアザイド類似薬インダパミドの効果

「緒言」高血圧には, 本態性高血圧と2次性高血圧があり, わが国で高血圧症と診断される約90%が本態性高血圧といわれている. 血圧が高い状態のまま持続すると, 心血管系に障害が生じ, 動脈硬化を引き起こしたり狭心症や心筋梗塞のような虚血性心疾患, 脳卒中を発症するリスクが高まる. これまで本態性高血圧の成因には, 遺伝的要因としてrenin-angiotensin(以下, RAと略す)系の遺伝子多型や腎臓からの食塩排泄障害などが挙げられ, さらに心理的ストレス, 食塩の過剰摂取, 肥満, 運動不足, アルコール摂取過多などの環境因子が関わって発症すると考えられている1). 1998年に報告され...

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Published in医療薬学 Vol. 36; no. 7; pp. 459 - 468
Main Authors 野垣, 文昭, 篠, 道弘, 呉, 俊模, 尾形, 曜子, 粂, 哲雄, 上村, 和秀, 加藤, こずえ, 伊藤, 正樹, 小野, 孝彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 2010
日本医療薬学会
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ISSN1346-342X
1882-1499
DOI10.5649/jjphcs.36.459

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Summary:「緒言」高血圧には, 本態性高血圧と2次性高血圧があり, わが国で高血圧症と診断される約90%が本態性高血圧といわれている. 血圧が高い状態のまま持続すると, 心血管系に障害が生じ, 動脈硬化を引き起こしたり狭心症や心筋梗塞のような虚血性心疾患, 脳卒中を発症するリスクが高まる. これまで本態性高血圧の成因には, 遺伝的要因としてrenin-angiotensin(以下, RAと略す)系の遺伝子多型や腎臓からの食塩排泄障害などが挙げられ, さらに心理的ストレス, 食塩の過剰摂取, 肥満, 運動不足, アルコール摂取過多などの環境因子が関わって発症すると考えられている1). 1998年に報告されたINTERSALT研究をはじめとして, 多くの観察研究や大規模介入試験によって食塩過剰摂取と血圧上昇の関連が指摘されてきた2). 厚生労働省発表の平成18年国民健康・栄養調査結果によると(厚生労働省健康局総務課生活習慣病対策室, 平成18年国民健康・栄養調査結果の概要, http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/04/h0430-2.html), わが国で20歳以上の1日の平均食塩摂取量は11.2g(男性12.2g, 女性10.5g)で, 欧米やわが国のガイドラインによる減塩の目標値である1日6g未満に比べると, まだかなり多いといえる3).
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.36.459