Physostigmine皮下投与後の人工射精中に脳出血を来した1例
Physostigmineの皮下投与は不妊治療における人工射精法の一つで,これまで比較的安全とされ広く普及している.今回われわれは31歳の頸椎損傷後の男性が不妊治療のためにphysostigmineを皮下投与された後に血圧が上昇し,脳出血を発症した1例を経験した.MRIや脳血管撮影等の精査で明らかな器質的出血源は認めず,physostigmine投与とその後の人工射精中に血圧上昇があったことが関与し脳出血を来したと考えた.Physostigmineはコリンエステラーゼ阻害剤で血圧変動を来す可能性があり,また,頸椎損傷後はさまざまな刺激で自律神経過反射を来しうるため特に注意が必要である.Phys...
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Published in | 脳卒中 Vol. 33; no. 1; pp. 140 - 142 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本脳卒中学会
2011
日本脳卒中学会 |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0912-0726 1883-1923 |
DOI | 10.3995/jstroke.33.140 |
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Summary: | Physostigmineの皮下投与は不妊治療における人工射精法の一つで,これまで比較的安全とされ広く普及している.今回われわれは31歳の頸椎損傷後の男性が不妊治療のためにphysostigmineを皮下投与された後に血圧が上昇し,脳出血を発症した1例を経験した.MRIや脳血管撮影等の精査で明らかな器質的出血源は認めず,physostigmine投与とその後の人工射精中に血圧上昇があったことが関与し脳出血を来したと考えた.Physostigmineはコリンエステラーゼ阻害剤で血圧変動を来す可能性があり,また,頸椎損傷後はさまざまな刺激で自律神経過反射を来しうるため特に注意が必要である.Physostigmine投与後の人工射精中には血圧管理を厳重に行い,高血圧を認めた場合には迅速な降圧を行い,頭痛や神経脱落症状を認めた場合には頭部CTによる出血除外が望ましいと考えられた. |
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ISSN: | 0912-0726 1883-1923 |
DOI: | 10.3995/jstroke.33.140 |