悪性脳腫瘍と鑑別が困難であった海綿状血管腫の1例

症例は70歳男性,1カ月前より頭痛を認めていた.頭部CTやMRIでは左側頭部に強い脳浮腫を伴う約2 cm大の均一に造影される出血を伴う病変を認めた.脳血管造影では同部位に濃染像を認めた.Tl-201 SPECTでは同部位にearly phaseとdelayed phaseで高集積を認め悪性脳腫瘍と同様の所見を示した.また,FDG-PETでは全身に異常集積はないが同部位に集積の低下を認めた.これらの所見より腫瘍内出血を伴う悪性脳腫瘍を疑い開頭腫瘍摘出術を行った.腫瘍は黄褐色で弾性硬であり周囲との境界明瞭であった.また,細血管が多数腫瘍内に入り込んでいた.病理所見は海綿状血管腫であり繰り返される出...

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Published in脳卒中 Vol. 30; no. 5; pp. 744 - 748
Main Authors 古市, 眞, 横山, 貴一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2008
日本脳卒中学会
Subjects
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.30.744

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Summary:症例は70歳男性,1カ月前より頭痛を認めていた.頭部CTやMRIでは左側頭部に強い脳浮腫を伴う約2 cm大の均一に造影される出血を伴う病変を認めた.脳血管造影では同部位に濃染像を認めた.Tl-201 SPECTでは同部位にearly phaseとdelayed phaseで高集積を認め悪性脳腫瘍と同様の所見を示した.また,FDG-PETでは全身に異常集積はないが同部位に集積の低下を認めた.これらの所見より腫瘍内出血を伴う悪性脳腫瘍を疑い開頭腫瘍摘出術を行った.腫瘍は黄褐色で弾性硬であり周囲との境界明瞭であった.また,細血管が多数腫瘍内に入り込んでいた.病理所見は海綿状血管腫であり繰り返される出血に伴う炎症性変化と思われるgliosisも認められた.画像所見では悪性脳腫瘍と鑑別が困難であった出血発症の脳内海綿状血管腫の一例を経験した.このような症例に注意し診断,治療に臨む必要があると考えられた.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.30.744