多発性骨髄腫が併存する急性期脳梗塞において回収血栓の病理組織学的所見とD-dimer推移について検討した1例:Trousseau症候群との関連
症例は,88歳女性,来院時,失語,右片麻痺を認め,NIHSS 26点であった.左内頚動脈閉塞による急性期脳梗塞と診断し,アルテプラーゼ静注療法および脳血栓回収療法を行った.多発性骨髄腫(multiple myeloma: MM)と心房細動(atrial fibrillation: AF)が併存しており,その発症機序として,Trousseau症候群か心原性塞栓症かの診断に苦慮した.初療時,D-dimer 2.25 µg/mlと若干の上昇を認め,回収された血栓は白色血栓で,新鮮な血栓であった.また,経時的にD-dimerの上昇を認めたこと(ピーク8.83 µg/ml),すでにアピキサバンを内服して...
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Published in | 脳卒中 Vol. 45; no. 4; pp. 337 - 342 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本脳卒中学会
2023
日本脳卒中学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0912-0726 1883-1923 |
DOI | 10.3995/jstroke.11116 |
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Summary: | 症例は,88歳女性,来院時,失語,右片麻痺を認め,NIHSS 26点であった.左内頚動脈閉塞による急性期脳梗塞と診断し,アルテプラーゼ静注療法および脳血栓回収療法を行った.多発性骨髄腫(multiple myeloma: MM)と心房細動(atrial fibrillation: AF)が併存しており,その発症機序として,Trousseau症候群か心原性塞栓症かの診断に苦慮した.初療時,D-dimer 2.25 µg/mlと若干の上昇を認め,回収された血栓は白色血栓で,新鮮な血栓であった.また,経時的にD-dimerの上昇を認めたこと(ピーク8.83 µg/ml),すでにアピキサバンを内服していたことから,Trousseau症候群による塞栓症と診断した.AFが併存する塞栓性脳梗塞であっても,回収血栓の病理組織像やD-dimerの推移などから,総合的に発症機序を検討することが肝要であると考えられた. |
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ISSN: | 0912-0726 1883-1923 |
DOI: | 10.3995/jstroke.11116 |