Meatal loopに発生した破裂前下小脳動脈瘤に対し,血管内治療を行った1例

前下小脳動脈末梢部に発生する動脈瘤は極めて稀であり,これまでclipping術やtrapping術,母血管閉塞術が施行されてきた.今回,meatal loopに発生した破裂前下小脳動脈瘤に対し,血管内治療を施行し,良好な結果を得られた症例を経験したので報告する.症例は51歳,男性.突然の頭痛で発症し,後頭蓋窩に厚いくも膜下出血と,動脈解離が疑われる右前下小脳動脈末梢部動脈瘤を認めた.母血管塞栓術を企図して血管内治療を行ったが,結果的に瘤内塞栓術を施行した.術後は聴力障害や顔面神経麻痺等の神経学的異常所見は認めなかった.経過観察目的の脳血管撮影では動脈瘤の再発は認めず,右前下小脳動脈の血流も温存...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in脳卒中 Vol. 45; no. 6; pp. 493 - 498
Main Authors 佐藤, 直樹, 遠藤, 勝洋, 太田, 守, 齋藤, 孝光, 石川, 敏仁, 海老原, 研一, 遠藤, 雄司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2023
日本脳卒中学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.11148

Cover

More Information
Summary:前下小脳動脈末梢部に発生する動脈瘤は極めて稀であり,これまでclipping術やtrapping術,母血管閉塞術が施行されてきた.今回,meatal loopに発生した破裂前下小脳動脈瘤に対し,血管内治療を施行し,良好な結果を得られた症例を経験したので報告する.症例は51歳,男性.突然の頭痛で発症し,後頭蓋窩に厚いくも膜下出血と,動脈解離が疑われる右前下小脳動脈末梢部動脈瘤を認めた.母血管塞栓術を企図して血管内治療を行ったが,結果的に瘤内塞栓術を施行した.術後は聴力障害や顔面神経麻痺等の神経学的異常所見は認めなかった.経過観察目的の脳血管撮影では動脈瘤の再発は認めず,右前下小脳動脈の血流も温存されていた.前下小脳動脈末梢部動脈瘤に対する治療では,聴力温存や,新規梗塞巣の発症率を下げる点において瘤内塞栓術は有用であるが,再発の可能性を十分に考慮し,定期的な血管評価は必須である.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.11148