脳卒中急性期の流涎症に対しスコポラミン軟膏が有効であった1例

症例は62歳男性.左不全麻痺,左上肢知覚異常,意識レベル低下のため緊急入院となり,誤嚥による窒息・呼吸状態悪化を認めたため,挿管・人工呼吸管理とした.その後に施行した頭部CTで,脳室穿破を伴う右視床出血を認め,さらに急性水頭症の所見あり,緊急両側脳室ドレナージ術を施行した.術翌日に意識レベルが改善し,抜管したが,その後も流涎症による唾液誤嚥リスクが高く,再挿管が検討された.流涎症改善の目的で,スコポラミン軟膏を耳介後部の乳様突起付近に塗布したところ,流涎が軽減し,1日吸引回数も減少した.塗布部位の局所反応はなく,副作用としては口腔乾燥を認めたが,口腔ケアで口腔内汚染なく経過した.スコポラミン軟...

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Published in脳卒中 Vol. 45; no. 4; pp. 355 - 358
Main Authors 尾市, 雄輝, 影山, 恭史, 大島, 仁実, 山田, 圭介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2023
日本脳卒中学会
Subjects
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.11108

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Summary:症例は62歳男性.左不全麻痺,左上肢知覚異常,意識レベル低下のため緊急入院となり,誤嚥による窒息・呼吸状態悪化を認めたため,挿管・人工呼吸管理とした.その後に施行した頭部CTで,脳室穿破を伴う右視床出血を認め,さらに急性水頭症の所見あり,緊急両側脳室ドレナージ術を施行した.術翌日に意識レベルが改善し,抜管したが,その後も流涎症による唾液誤嚥リスクが高く,再挿管が検討された.流涎症改善の目的で,スコポラミン軟膏を耳介後部の乳様突起付近に塗布したところ,流涎が軽減し,1日吸引回数も減少した.塗布部位の局所反応はなく,副作用としては口腔乾燥を認めたが,口腔ケアで口腔内汚染なく経過した.スコポラミン軟膏は,唾液による窒息・誤嚥リスクを低減し,挿管・気管切開などの侵襲操作なく,呼吸管理できる可能性が示唆された.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.11108