心臓外科領域における周術期感染管理

通常の心臓外科手術は清潔手術であるが,手術部位感染(surgical site infection:SSI)は少なからず発生する。胸骨正中切開後の胸骨骨髄炎・縦隔炎の深部胸骨創感染(DSWI)の発症率は0.25〜5%で,発症した場合の死亡率は20〜45%にも及ぶ。DSWIは在院日数・医療コストの点からも問題である。いかにDSWIを減らすか,ERAS(enhanced recovery after surgery)プロトコールを念頭に置き周術期感染管理を行っている。外科医者にとり一番問題なのは周術期感染症により自分たちの手術に対する患者の満足度が損なわれることである。心臓の状態がいかに良好でも,...

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Published in日本外科感染症学会雑誌 Vol. 20; no. 2; pp. 86 - 91
Main Authors 種本, 和雄, 金岡, 祐司, 柚木, 靖弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本外科感染症学会 15.09.2023
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ISSN1349-5755
2434-0103
DOI10.24679/gekakansen.20.2_86

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Summary:通常の心臓外科手術は清潔手術であるが,手術部位感染(surgical site infection:SSI)は少なからず発生する。胸骨正中切開後の胸骨骨髄炎・縦隔炎の深部胸骨創感染(DSWI)の発症率は0.25〜5%で,発症した場合の死亡率は20〜45%にも及ぶ。DSWIは在院日数・医療コストの点からも問題である。いかにDSWIを減らすか,ERAS(enhanced recovery after surgery)プロトコールを念頭に置き周術期感染管理を行っている。外科医者にとり一番問題なのは周術期感染症により自分たちの手術に対する患者の満足度が損なわれることである。心臓の状態がいかに良好でも,術創の表層の感染に対しても満足度は低下する。周術期感染症を発症させないという明確な目標を掲げ,自分たちが正しいと信じる管理をバンドルとして行っていくことが大切である。
ISSN:1349-5755
2434-0103
DOI:10.24679/gekakansen.20.2_86