JAK2変異陽性真性多血症が原因となった症候性左内頚動脈狭窄症の1例

症例は26歳男性,繰り返す右上肢脱力発作の精査にて左内頚動脈高度狭窄と多発性脳梗塞を認めた.急性期加療を行いながら,若年性脳梗塞の原因精査で右冠動脈末梢の狭窄と,腹部大動脈に血栓を疑う陰影欠損を認めた.さらに血球増多があり,JAK2遺伝子変異を検出し,真性多血症と診断した.ルキソリチニブの内服開始後,頚動脈プラークの速やかな退縮が得られた.今回の症例経験からJAK2遺伝子変異陽性例では,脳梗塞予防には抗血小板薬だけでなく,抗腫瘍薬使用も有用と考えられる.真性多血症での多発性の血栓塞栓症の報告は多いが,塞栓源に対する経時的画像変化を捉えた報告は貴重であると考え,報告する....

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Published in脳卒中 Vol. 44; no. 4; pp. 443 - 448
Main Authors 藤木, 稔, 武田, 裕, 松田, 浩幸, 久保, 毅, 久光, 慶紀, 森重, 真毅, 麻生, 大吾
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2022
日本脳卒中学会
Subjects
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.10991

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Summary:症例は26歳男性,繰り返す右上肢脱力発作の精査にて左内頚動脈高度狭窄と多発性脳梗塞を認めた.急性期加療を行いながら,若年性脳梗塞の原因精査で右冠動脈末梢の狭窄と,腹部大動脈に血栓を疑う陰影欠損を認めた.さらに血球増多があり,JAK2遺伝子変異を検出し,真性多血症と診断した.ルキソリチニブの内服開始後,頚動脈プラークの速やかな退縮が得られた.今回の症例経験からJAK2遺伝子変異陽性例では,脳梗塞予防には抗血小板薬だけでなく,抗腫瘍薬使用も有用と考えられる.真性多血症での多発性の血栓塞栓症の報告は多いが,塞栓源に対する経時的画像変化を捉えた報告は貴重であると考え,報告する.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.10991