挿入型イヤホンの音響特性と VEMP の音圧の安全性に関する考察
要旨: VEMP の音響刺激は強大音であり, 聴力障害を来たさない音圧の安全性に関する考察は研究途上である。誘発電位検査用イヤホンは定期的に校正されていないことが多く, 基準値以上の音圧が出力された場合,音響外傷を引き起こす危険性がある。日本光電工業社製の誘発電位検査装置には挿入型イヤホン YE-103J が附属されているが, 聴力検査用挿入型イヤホンとは異なる設計で特性は不明である。そこで, YE-103J の周波数応答等の評価を行うとともに, 音響刺激に対する聴覚閾値上昇の評価に関する過去の文献を基に VEMP における安全な音圧を考察した。YE-103J は聴力検査用挿入型イヤホンに比べ...
Saved in:
Published in | AUDIOLOGY JAPAN Vol. 65; no. 4; pp. 262 - 270 |
---|---|
Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本聴覚医学会
30.08.2022
日本聴覚医学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0303-8106 1883-7301 |
DOI | 10.4295/audiology.65.262 |
Cover
Summary: | 要旨: VEMP の音響刺激は強大音であり, 聴力障害を来たさない音圧の安全性に関する考察は研究途上である。誘発電位検査用イヤホンは定期的に校正されていないことが多く, 基準値以上の音圧が出力された場合,音響外傷を引き起こす危険性がある。日本光電工業社製の誘発電位検査装置には挿入型イヤホン YE-103J が附属されているが, 聴力検査用挿入型イヤホンとは異なる設計で特性は不明である。そこで, YE-103J の周波数応答等の評価を行うとともに, 音響刺激に対する聴覚閾値上昇の評価に関する過去の文献を基に VEMP における安全な音圧を考察した。YE-103J は聴力検査用挿入型イヤホンに比べて周波数特性において感度の変動が大きく, 500Hz での使用には実際に計測した音圧値をもとに設定値を下げる注意が必要であった。VEMP において確実に安全といえる音圧は 125dB SPL より低い音圧と考えられた。VEMP は聴力障害に対する配慮が必須であり施行に際しては有効性・安全性を考慮して行うべきである。 |
---|---|
ISSN: | 0303-8106 1883-7301 |
DOI: | 10.4295/audiology.65.262 |