新型コロナウイルス感染症罹患後症状における睡眠障害の特徴と推移
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患後症状(コロナ後遺症)の病態や機序は未解明な点も多い。本研究では,オミクロン変異株の流行以降,睡眠障害を有する患者が増加傾向にあり,その臨床的特徴を明らかにすることを目的とした。2021年2月から2023年6月までに当院受診したコロナ後遺症患者718名のうち,睡眠障害は148人(20.6%)に認められ, 株別の有病率をみると従来株:12%,デルタ株:13%,オミクロン株:25%とオミクロン株で有意に増加していた(P < 0.01)。睡眠障害のタ イプでは総じて入眠障害が多いものの,オミクロン株感染の後遺症に限ると,中途覚醒を伴う患者の増加と...
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Published in | 日本病院総合診療医学会雑誌 Vol. 20; no. 3; pp. 129 - 134 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本病院総合診療医学会
31.05.2024
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Subjects | |
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ISSN | 2185-8136 2758-7878 |
DOI | 10.60227/jhgmwabun.20.3_129 |
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Summary: | 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患後症状(コロナ後遺症)の病態や機序は未解明な点も多い。本研究では,オミクロン変異株の流行以降,睡眠障害を有する患者が増加傾向にあり,その臨床的特徴を明らかにすることを目的とした。2021年2月から2023年6月までに当院受診したコロナ後遺症患者718名のうち,睡眠障害は148人(20.6%)に認められ, 株別の有病率をみると従来株:12%,デルタ株:13%,オミクロン株:25%とオミクロン株で有意に増加していた(P < 0.01)。睡眠障害のタ イプでは総じて入眠障害が多いものの,オミクロン株感染の後遺症に限ると,中途覚醒を伴う患者の増加とともにブレインフォグを呈する割合が高頻度であった(54%,P < 0.01)。また,内分泌学的には熟眠障害を有する患者で血清 Cortisol 値が有意に低下していた(P < 0.05)。 以上より, コロナ後遺症に見られる睡眠障害の推移には,ストレス応答障害も少なくとも一部関与している可能性が示唆された。 |
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ISSN: | 2185-8136 2758-7878 |
DOI: | 10.60227/jhgmwabun.20.3_129 |