初期診断にcomputed tomography angiographyが有用であった脳底動脈穿通枝動脈瘤の1例
症例は69歳男性.頭痛・嘔吐症状を発症し救急搬送された.頭部CTにて後頭蓋窩に優位のくも膜下出血を認めた.CT Angiography(CTA)で脳底動脈高位右側に動脈瘤を疑う所見があるものの,脳血管撮影検査にて同部位での明確な動脈瘤の描出は認めなかった.3日後の脳血管撮影検査にてCTAで動脈瘤様陰影が疑われた部位に最大直径約2 mmの穿通枝動脈瘤を認め,出血源の診断確定に至った.急性期の厳密な鎮静・血圧管理による保存的加療を行い,動脈瘤の拡大傾向や再破裂なく経過し,リハビリテーションを施行して介助歩行可能となった.発症1年後の血管撮影検査で,動脈瘤消失を確認した.脳底動脈穿通枝動脈瘤は初期診...
Saved in:
Published in | 脳卒中 Vol. 44; no. 4; pp. 399 - 405 |
---|---|
Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本脳卒中学会
2022
日本脳卒中学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0912-0726 1883-1923 |
DOI | 10.3995/jstroke.10965 |
Cover
Summary: | 症例は69歳男性.頭痛・嘔吐症状を発症し救急搬送された.頭部CTにて後頭蓋窩に優位のくも膜下出血を認めた.CT Angiography(CTA)で脳底動脈高位右側に動脈瘤を疑う所見があるものの,脳血管撮影検査にて同部位での明確な動脈瘤の描出は認めなかった.3日後の脳血管撮影検査にてCTAで動脈瘤様陰影が疑われた部位に最大直径約2 mmの穿通枝動脈瘤を認め,出血源の診断確定に至った.急性期の厳密な鎮静・血圧管理による保存的加療を行い,動脈瘤の拡大傾向や再破裂なく経過し,リハビリテーションを施行して介助歩行可能となった.発症1年後の血管撮影検査で,動脈瘤消失を確認した.脳底動脈穿通枝動脈瘤は初期診断の比較的難しい動脈瘤とされているが,CTAが初期診断に有用である可能性があり,文献的考察を踏まえて報告する. |
---|---|
ISSN: | 0912-0726 1883-1923 |
DOI: | 10.3995/jstroke.10965 |