腹部救急疾患に対する抗菌薬療法
腹部救急疾患は緊急手術を含む迅速な対応を要する腹部疾患群であり,消化器疾患が多くを占める。なかでも,汎発性腹膜炎や敗血性ショックなどを呈する急性炎症性疾患では,緊急の手術やinterventional radiology(IVR)による処置が必要となる。緊急手術を要する消化器疾患では術後感染性合併症の発生率が高く,腹腔内膿瘍などの臓器/体腔SSIが発生することも多い。この術後腹腔内感染症も早期に適切な治療を行わなければ重篤となる可能性があり,治療の基本は抗菌薬治療と,感染源の適切なコントロールである。腹部救急疾患やその術後腹腔内感染症の抗菌薬治療では広域スペクトラムの抗菌薬を使用することが多い...
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| Published in | 日本外科感染症学会雑誌 Vol. 20; no. 2; pp. 70 - 74 |
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| Main Authors | , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本外科感染症学会
15.09.2023
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 1349-5755 2434-0103 |
| DOI | 10.24679/gekakansen.20.2_70 |
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| Summary: | 腹部救急疾患は緊急手術を含む迅速な対応を要する腹部疾患群であり,消化器疾患が多くを占める。なかでも,汎発性腹膜炎や敗血性ショックなどを呈する急性炎症性疾患では,緊急の手術やinterventional radiology(IVR)による処置が必要となる。緊急手術を要する消化器疾患では術後感染性合併症の発生率が高く,腹腔内膿瘍などの臓器/体腔SSIが発生することも多い。この術後腹腔内感染症も早期に適切な治療を行わなければ重篤となる可能性があり,治療の基本は抗菌薬治療と,感染源の適切なコントロールである。腹部救急疾患やその術後腹腔内感染症の抗菌薬治療では広域スペクトラムの抗菌薬を使用することが多いため,薬剤耐性菌の増加が問題となる。日本においても基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)産生菌が急速に増加しており,antimicrobial resistance(AMR)対策を考慮した,適切な抗菌薬使用を行わなければならない。また,感染源の局所コントロールは,各施設で安全に施行可能な手技を選択して実施すべきである。 |
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| ISSN: | 1349-5755 2434-0103 |
| DOI: | 10.24679/gekakansen.20.2_70 |