3次元モデルによる網脈絡膜変性疾患の脈絡膜血管形態の評価

【目的】クリスタリン網膜症(BCD)や網膜色素変性症(RP)等の網脈絡膜変性疾患では、脈絡膜が菲薄化する例が多い。菲薄化には局在性があるが既報の多くは2次元画像による評価であるため、病態を反映していない可能性がある。3次元画像による脈絡膜形態解析が望ましいが報告は少ない。今回、BCDとRPおよび健常眼の脈絡膜血管形態を3次元モデルを用いて比較検討した。【対象および方法】対象はBCD 5例8眼、RP 13例23眼、健常眼 51例51眼。SS-OCTで黄斑部を撮影し、OCT連続画像を用いて3次元モデルを作製した。中心窩を中心とした直径4.5mmの円内部を測定した。OCT画像から中心窩下脈絡膜厚(S...

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Published in日本視能訓練士協会誌 Vol. 52; pp. 61 - 67
Main Authors 深津, 有佳里, 今村, 拓未, 石龍, 鉄樹, 関向, 秀樹, 菅野, 幸紀, 前田, 駿介, 田中, 啓一郎, 則川, 晃希
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本視能訓練士協会 2022
日本視能訓練士協会
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ISSN0387-5172
1883-9215
DOI10.4263/jorthoptic.52F108

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Summary:【目的】クリスタリン網膜症(BCD)や網膜色素変性症(RP)等の網脈絡膜変性疾患では、脈絡膜が菲薄化する例が多い。菲薄化には局在性があるが既報の多くは2次元画像による評価であるため、病態を反映していない可能性がある。3次元画像による脈絡膜形態解析が望ましいが報告は少ない。今回、BCDとRPおよび健常眼の脈絡膜血管形態を3次元モデルを用いて比較検討した。【対象および方法】対象はBCD 5例8眼、RP 13例23眼、健常眼 51例51眼。SS-OCTで黄斑部を撮影し、OCT連続画像を用いて3次元モデルを作製した。中心窩を中心とした直径4.5mmの円内部を測定した。OCT画像から中心窩下脈絡膜厚(SFCT)、3次元モデルから脈絡膜体積(CV)、脈絡膜血管容積(CVV)、脈絡膜血管比率(CVI)を算出し検討した。【結果】BCDとRPでは、健常眼と比較してSFCTとCVおよびCVVいずれも有意に薄く小さい(p<0.01)。CVIでは、RPと健常眼において有意差はなかった(p=0.057)。BCDでは、RPと比較してCVVとCVIが有意に小さかった(p<0.05、p<0.01)。【考按】3次元モデルを用いて、健常眼との比較でCVはBCDとRPで小さかった。一方、CVIはRPで差がなくBCDで低いことから、RPでは脈絡膜血管と実質は同等に減少し、BCDでは血管容積がより減少する可能性がある。
ISSN:0387-5172
1883-9215
DOI:10.4263/jorthoptic.52F108