ヨーグルトの過剰摂取が原因と考えられた感染性心内膜炎に伴う破裂感染性脳動脈瘤の1例

生来健康な34歳男性.発熱にて精査中,頭痛を主訴に左脳出血を発症し,精査加療目的に入院した.血液培養からLactobacillus rhamnosusが同定され,心臓超音波検査にて大動脈弁に疣贅を指摘されたため,感染性心内膜炎と診断された.本患者は1日推奨量の10倍以上のヨーグルト摂取を行っており,これが侵入門戸と推定された.抗生物質による加療を開始していたにもかかわらず,右脳出血を続発した.血腫内に脳動脈瘤が認められ,保存加療中に脳動脈瘤が経時的に増大したため,感染性動脈瘤と診断し,開頭脳動脈瘤切除術を施行した.発症から33日後に大動脈弁置換術が施行され,その後リハビリテーション目的に転院し...

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Published in脳卒中 Vol. 45; no. 5; pp. 426 - 431
Main Authors 石田, 衛, 吉田, 光宏, 濱﨑, 一, 中西, 浩隆, 水谷, 尚史, 寺尾, 和一, 相見, 有理, 中林, 規容
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2023
日本脳卒中学会
Subjects
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.11133

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Summary:生来健康な34歳男性.発熱にて精査中,頭痛を主訴に左脳出血を発症し,精査加療目的に入院した.血液培養からLactobacillus rhamnosusが同定され,心臓超音波検査にて大動脈弁に疣贅を指摘されたため,感染性心内膜炎と診断された.本患者は1日推奨量の10倍以上のヨーグルト摂取を行っており,これが侵入門戸と推定された.抗生物質による加療を開始していたにもかかわらず,右脳出血を続発した.血腫内に脳動脈瘤が認められ,保存加療中に脳動脈瘤が経時的に増大したため,感染性動脈瘤と診断し,開頭脳動脈瘤切除術を施行した.発症から33日後に大動脈弁置換術が施行され,その後リハビリテーション目的に転院した.ヨーグルト製品の過剰摂取によるLactobacillus菌血症は,少ないながらも報告があり,本症例のように感染性心内膜炎を発症し,細菌性脳動脈瘤の形成,破裂に至る可能性も考慮すべきである.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.11133