抗がん剤誘発遅延性悪心・嘔吐に対する低用量ステロイドの有用性の評価
緒言 抗がん剤投与24時間以降に発現する遅延性悪心・嘔吐の症状は,激しい嘔吐を繰り返すことは稀で,一般的には軽微とされる「吐き気」や「食欲不振」といった症状が長期にわたり遷延する傾向にある1).これは,CTCAEv3.0(有害事象共通用語基準)などの通常のグレード分類ではGrade1~2に相当し,医療者側の認識も低くなりがちで積極的な治療が行われていないことも多い.MASCC(国際がんサポーティブケア学会)などによる治療ガイドラインでは催吐作用の高リスク群薬剤による遅延性悪心・嘔吐に対し,高用量のステロイド(デキサメタゾン8mg/日相当,2~4日)を推奨している2).これを内服薬に換算すると,...
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Published in | 医療薬学 Vol. 33; no. 4; pp. 310 - 317 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人日本医療薬学会
2007
日本医療薬学会 |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1346-342X 1882-1499 |
DOI | 10.5649/jjphcs.33.310 |
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Summary: | 緒言 抗がん剤投与24時間以降に発現する遅延性悪心・嘔吐の症状は,激しい嘔吐を繰り返すことは稀で,一般的には軽微とされる「吐き気」や「食欲不振」といった症状が長期にわたり遷延する傾向にある1).これは,CTCAEv3.0(有害事象共通用語基準)などの通常のグレード分類ではGrade1~2に相当し,医療者側の認識も低くなりがちで積極的な治療が行われていないことも多い.MASCC(国際がんサポーティブケア学会)などによる治療ガイドラインでは催吐作用の高リスク群薬剤による遅延性悪心・嘔吐に対し,高用量のステロイド(デキサメタゾン8mg/日相当,2~4日)を推奨している2).これを内服薬に換算すると,服用錠数が多くなり,軽微な症状に対し使用するには医師も患者もためらいがちになるという問題がある.また,短期間とはいえステロイドによる有害作用の点からも,臨床上の一般的な認識からは受け入れにくい用量であると考えられる. |
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ISSN: | 1346-342X 1882-1499 |
DOI: | 10.5649/jjphcs.33.310 |