頸動脈ステント内の不安定プラークに対し頸動脈内膜剥離術を施行した1例

ステント留置術(CAS)後にアテローム血栓性脳梗塞を発症し,塞栓源として頸部内頸動脈に不安定プラークを伴った再狭窄粥状硬化病変を認めた症例に対し,頸動脈血栓内膜剥離術(CEA)を行い,良好な結果を得た1症例を経験したので報告する.症例は,75歳,女性.1年3カ月前に,他院にて右頸動脈狭窄症に対してCASを施行された.入浴後に突然,見当識障害,左片麻痺を認め,当院救急搬送となった.発症30分で来院し,当初,強い左上肢および顔面麻痺を認めたが,徐々に神経症状の改善あり,軽度の不全麻痺を残すのみであった.頭部MRI拡散強調画像にて右境界領域脳梗塞を認め,脳血管撮影にてポケット状の潰瘍を伴う頸動脈の再...

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Published in脳卒中 Vol. 34; no. 3; pp. 166 - 171
Main Authors 榊, 孝之, 山本, 綾, 中西, 克彦, 千田, 賢作
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2012
日本脳卒中学会
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.34.166

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Summary:ステント留置術(CAS)後にアテローム血栓性脳梗塞を発症し,塞栓源として頸部内頸動脈に不安定プラークを伴った再狭窄粥状硬化病変を認めた症例に対し,頸動脈血栓内膜剥離術(CEA)を行い,良好な結果を得た1症例を経験したので報告する.症例は,75歳,女性.1年3カ月前に,他院にて右頸動脈狭窄症に対してCASを施行された.入浴後に突然,見当識障害,左片麻痺を認め,当院救急搬送となった.発症30分で来院し,当初,強い左上肢および顔面麻痺を認めたが,徐々に神経症状の改善あり,軽度の不全麻痺を残すのみであった.頭部MRI拡散強調画像にて右境界領域脳梗塞を認め,脳血管撮影にてポケット状の潰瘍を伴う頸動脈の再狭窄を認めた.ステントを含めCEAを行い,良好な結果を得ることができた.頸動脈の壁の状態,特に高齢者は石灰化を含めた硬化病巣と軟らかい粥状病変の混在する症例が多く,治療の選択において病巣の詳細な評価の必要性を再認識した症例であった.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.34.166