サポーティブペリオドンタルセラピー期における塗布用ブラシ一体型一般用歯周病薬の臨床的および細菌学的な効果

サポーティブペリオドンタルセラピー(SPT)期における歯周組織の安定には, 定期的な専門的管理に加え, 患者自身の日々のプラークコントロールが重要である。今回我々は, 患者によるプラークコントロールを強化する目的で, 殺菌作用のある塩化セチルピリジニウム, 抗炎症効果のあるグリチルリチン酸二カリウムおよび組織創傷治癒効果をもつアラントインの3種の薬効成分を配合した薬剤をタフトブラシと一体化した塗布用ブラシ一体型歯周病薬(MC1)を開発した。本研究では, SPT期の歯周組織の維持・改善に対するMC1の有効性を臨床的および細菌学的指標を用いて評価した。 本研究は, SPT期の慢性歯周炎患者を対象と...

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Published in日本歯周病学会会誌 Vol. 52; no. 3; pp. 225 - 238
Main Authors 安田, 多賀子, 大槻, 秀彦, 犬伏, 順也, 高柴, 正悟, 畑中, 加珠, 成石, 浩司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本歯周病学会 2010
日本歯周病学会
Subjects
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ISSN0385-0110
1880-408X
DOI10.2329/perio.52.225

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Summary:サポーティブペリオドンタルセラピー(SPT)期における歯周組織の安定には, 定期的な専門的管理に加え, 患者自身の日々のプラークコントロールが重要である。今回我々は, 患者によるプラークコントロールを強化する目的で, 殺菌作用のある塩化セチルピリジニウム, 抗炎症効果のあるグリチルリチン酸二カリウムおよび組織創傷治癒効果をもつアラントインの3種の薬効成分を配合した薬剤をタフトブラシと一体化した塗布用ブラシ一体型歯周病薬(MC1)を開発した。本研究では, SPT期の歯周組織の維持・改善に対するMC1の有効性を臨床的および細菌学的指標を用いて評価した。 本研究は, SPT期の慢性歯周炎患者を対象とした二重盲検法にて実施した。被験者として61名が参加し(試験群 : 27名, プラセボ群 : 28名, 脱落 : 6名), 4 mm以上の歯周ポケットを残す臼歯2歯の辺縁歯肉に, 1日2回12週間, MC1を塗布した。MC1の効果は, ベースライン時, 6および12週間目の3時点について, 臨床指標(PPD, BOP, PCR, GIおよびGCF量), および細菌学的指標(GCF中の総菌数, Porphyromonas gingivalis, Tannerella forsythia およびTreponema denticola)を算出し, 統計学的に群間比較して検討した。 PCRを除く全ての臨床指標は2群ともに経時的に有意に改善した。特に試験群では, GIおよびGCF量が早期に改善する傾向にあった。一方, 5mm以上の歯周ポケットを有する部位において, 試験群では調べた3菌種すべての菌数が, プラセボ群よりも有意に減少した。 以上のことから, MC1はSPT期の慢性歯周炎患者の病状安定において, 臨床的および細菌学的に有効であることが示唆された。 日本歯周病学会会誌(日歯周誌)52(3) : 225-238, 2010
ISSN:0385-0110
1880-408X
DOI:10.2329/perio.52.225