ワルファリン治療個別化に利用可能な簡易·同時遺伝子診断法の確立
「緒言」ワルファリン(Wf)は, 世界的に最も繁用されている抗凝固薬であり, わが国では長期投与可能な唯一の経口抗凝固薬として年間約70万人が服用していると推定されている. 効果が高い半面, 治療域が狭いため, 過量では出血, 過少投与では血栓予防に失敗という, いずれも重篤な事象を引き起こすことから米国では副作用で救急外来を訪れる患者の原因薬物の第2位となっている1). また, 医師にとっては処方に特に注意を払っている薬物であり, 1度出血事象を経験した医師は, その後の投与量を平均で2割控えめにするとの報告もある2). Wf治療を困難にしている主たる理由の1つに投与量の著しい個体差があり,...
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Published in | 医療薬学 Vol. 35; no. 8; pp. 551 - 557 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人日本医療薬学会
2009
日本医療薬学会 |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1346-342X 1882-1499 |
DOI | 10.5649/jjphcs.35.551 |
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Summary: | 「緒言」ワルファリン(Wf)は, 世界的に最も繁用されている抗凝固薬であり, わが国では長期投与可能な唯一の経口抗凝固薬として年間約70万人が服用していると推定されている. 効果が高い半面, 治療域が狭いため, 過量では出血, 過少投与では血栓予防に失敗という, いずれも重篤な事象を引き起こすことから米国では副作用で救急外来を訪れる患者の原因薬物の第2位となっている1). また, 医師にとっては処方に特に注意を払っている薬物であり, 1度出血事象を経験した医師は, その後の投与量を平均で2割控えめにするとの報告もある2). Wf治療を困難にしている主たる理由の1つに投与量の著しい個体差があり, それは患者の年齢や体格など身体的要因, V.K摂取等の環境要因, および遺伝的要因によってもたらされる. 2005年にWf標的分子, ビタミンKエポキシド還元酵素(VKOR)複合体1(VKORC1)のヒトにおける遺伝子が単離された3). |
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ISSN: | 1346-342X 1882-1499 |
DOI: | 10.5649/jjphcs.35.551 |