ヒト血管内皮細胞における細胞傷害性試験およびウサギ血管刺激性試験によるニカルジピン塩酸塩誘発血管障害の危険因子の解析

「緒言」ニカルジピン塩酸塩注射液は手術時の異常高血圧の救急処置, 高血圧性緊急症, 急性心不全に適応を持ち, 速やかな薬効と少ない副作用のため有用性が高く, 経口投与が難しい患者や緊急の高血圧の治療に広く臨床使用されている. しかしながら, 治療継続の妨げとなる副作用の1つとして静脈内投与後の血管障害が報告されており, 発症頻度は約34~39%と報告されている. 埼玉医科大学国際医療センターでも, 脳出血, クモ膜下出血, 脳動脈瘤の患者などにニカルジピン塩酸塩注射液を使用しているが, 末梢静脈から投与した場合には静脈炎を発現することがある. ニカルジピン塩酸塩注射液による静脈炎および血管周囲...

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Published in医療薬学 Vol. 41; no. 12; pp. 888 - 893
Main Authors 越智, 幹記, 豊田, 弘, 掛樋, 善明, 田中, 祥之, 石原, 正一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 10.12.2015
日本医療薬学会
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ISSN1346-342X
1882-1499
DOI10.5649/jjphcs.41.888

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Summary:「緒言」ニカルジピン塩酸塩注射液は手術時の異常高血圧の救急処置, 高血圧性緊急症, 急性心不全に適応を持ち, 速やかな薬効と少ない副作用のため有用性が高く, 経口投与が難しい患者や緊急の高血圧の治療に広く臨床使用されている. しかしながら, 治療継続の妨げとなる副作用の1つとして静脈内投与後の血管障害が報告されており, 発症頻度は約34~39%と報告されている. 埼玉医科大学国際医療センターでも, 脳出血, クモ膜下出血, 脳動脈瘤の患者などにニカルジピン塩酸塩注射液を使用しているが, 末梢静脈から投与した場合には静脈炎を発現することがある. ニカルジピン塩酸塩注射液による静脈炎および血管周囲組織の障害は, 疼痛, 紅斑/浮腫, 熱感などの症状を呈し, 患者のquality of lifeは著しく低下する. また, 薬剤投与の中断を余儀なくされ, 静脈炎の治療も行う必要があるため医療従事者の負担も増加する.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.41.888