対応に悩む喉頭疾患 —慢性咳嗽

「はじめに」喉頭には, 呼吸・発声・嚥下の3つの機能がある. 咳嗽は気道に侵入した異物を排除する気道防御運動の1つで重要な機能である. しかし, 長期的な咳嗽は患者を消耗させそのQOLを低下させるため, 8週間以上継続する慢性咳嗽患者への対応は重要である. 「慢性咳嗽とその対応」「咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019」には成人遷延性・慢性咳嗽への対応がフローチャートに示されている. 肺結核などの呼吸器感染症・肺癌などの悪性疾患・喘息・COPD・慢性気管支炎・気管支拡張症・薬剤性肺障害・心不全・鼻副鼻腔疾患などは, 医療面接・身体所見・胸部X線写真などで比較的容易に原因を推定できる咳嗽とされ,...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in喉頭 Vol. 32; no. 2; pp. 155 - 160
Main Author 鈴木, 猛司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本喉頭科学会 01.12.2020
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0915-6127
2185-4696
DOI10.5426/larynx.32.155

Cover

More Information
Summary:「はじめに」喉頭には, 呼吸・発声・嚥下の3つの機能がある. 咳嗽は気道に侵入した異物を排除する気道防御運動の1つで重要な機能である. しかし, 長期的な咳嗽は患者を消耗させそのQOLを低下させるため, 8週間以上継続する慢性咳嗽患者への対応は重要である. 「慢性咳嗽とその対応」「咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019」には成人遷延性・慢性咳嗽への対応がフローチャートに示されている. 肺結核などの呼吸器感染症・肺癌などの悪性疾患・喘息・COPD・慢性気管支炎・気管支拡張症・薬剤性肺障害・心不全・鼻副鼻腔疾患などは, 医療面接・身体所見・胸部X線写真などで比較的容易に原因を推定できる咳嗽とされ, 広義の成人遷延性・慢性咳嗽とされる. 一方, 上記で異常を認めない場合は狭義の成人遷延性・慢性咳嗽とされる. このうち喀痰を認める場合は, 喀痰塗抹・培養, 胸部・副鼻腔CTなどを行い, 副鼻腔炎, 気管支拡張所見, 好中球性気道炎症の存在があれば, 副鼻腔気管支症候群を考え, 14・15員環系マクロライド系抗菌薬を8週間投与する.
ISSN:0915-6127
2185-4696
DOI:10.5426/larynx.32.155