十二指腸への直接浸潤が疑われた自然破裂歴のある原発性肝癌の一例

「和文抄録」 原発性肝癌の自然破裂の既往がある75歳男性が, 強い貧血症状を主訴に来院した. 上部消化管内視鏡検査にて, 十二指腸球部から下行脚にかけて出血を伴う潰瘍限局型の腫瘤を認め, 生検・腹部CTにて原発性肝癌の十二指腸直接浸潤が疑われた. 過去の文献的考察では, 原発性肝癌の他臓器への転移のうち, 十二指腸への転移は1%前後である. 本例は, 原発性肝癌が腹腔内破裂後に十二指腸への直接浸潤を呈した稀な症例と考えられた. 「緒言」 原発性肝癌の消化管への転移・浸潤は頻度が低く, 剖検例で5~7%1)と報告されており, 特に十二指腸への転移・浸潤は稀である. 今回, 著者らは自然破裂後に肝...

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Published in山口医学 Vol. 60; no. 1+2; pp. 23 - 28
Main Authors 坂口, 栄樹, 祐徳, 浩紀, 村上, 知之, 谷岡, ゆかり, 五嶋, 敦史, 柳井, 秀雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 山口大学医学会 2011
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ISSN0513-1731
1880-4462
DOI10.2342/ymj.60.23

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Summary:「和文抄録」 原発性肝癌の自然破裂の既往がある75歳男性が, 強い貧血症状を主訴に来院した. 上部消化管内視鏡検査にて, 十二指腸球部から下行脚にかけて出血を伴う潰瘍限局型の腫瘤を認め, 生検・腹部CTにて原発性肝癌の十二指腸直接浸潤が疑われた. 過去の文献的考察では, 原発性肝癌の他臓器への転移のうち, 十二指腸への転移は1%前後である. 本例は, 原発性肝癌が腹腔内破裂後に十二指腸への直接浸潤を呈した稀な症例と考えられた. 「緒言」 原発性肝癌の消化管への転移・浸潤は頻度が低く, 剖検例で5~7%1)と報告されており, 特に十二指腸への転移・浸潤は稀である. 今回, 著者らは自然破裂後に肝外性に発育した原発性肝癌が十二指腸に直接浸潤した1例を経験した. 「症例」 患者:70歳代男性. 主訴:全身倦怠感. 既往歴:2007年6月(前回入院時)に膀胱癌を指摘され, 経尿道的切除術施行, 前立腺転移あり.
ISSN:0513-1731
1880-4462
DOI:10.2342/ymj.60.23