気管支喘息発作中の臍ヘルニア嵌頓手術の麻酔管理においてケタミンが有用であった1症例

症例は55歳の女性で,30歳時より気管支喘息に対して加療中であった.今回,喘息発作と腹痛を主訴に救急外来を受診した.ステロイドの投与にても喘息発作のコントロールは不十分であったが,臍ヘルニア嵌頓の腹部症状を優先して緊急手術が施行された.麻酔法は硬膜外麻酔併用脊髄くも膜下麻酔法で行い,自発呼吸下にケタミンとプロポフォールを持続投与した.術中の喘息発作は徐々に軽快し,ケタミン投与下にコントロールできた.一方,手術時間が長時間となり,術中に脊髄くも膜下麻酔による鎮痛効果が減弱したが,硬膜外麻酔とケタミンを用いることで再び鎮痛効果を得ることができた.以上から,本麻酔管理法は喘息患者に対して有用であると...

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 30; no. 5; pp. 799 - 803
Main Authors 小寺, 厚志, 江崎, 公明, 上妻, 精二, 橋本, 正博, 瀧, 賢一郎, 宮崎, 直樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 2010
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ISSN0285-4945
1349-9149
DOI10.2199/jjsca.30.799

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Summary:症例は55歳の女性で,30歳時より気管支喘息に対して加療中であった.今回,喘息発作と腹痛を主訴に救急外来を受診した.ステロイドの投与にても喘息発作のコントロールは不十分であったが,臍ヘルニア嵌頓の腹部症状を優先して緊急手術が施行された.麻酔法は硬膜外麻酔併用脊髄くも膜下麻酔法で行い,自発呼吸下にケタミンとプロポフォールを持続投与した.術中の喘息発作は徐々に軽快し,ケタミン投与下にコントロールできた.一方,手術時間が長時間となり,術中に脊髄くも膜下麻酔による鎮痛効果が減弱したが,硬膜外麻酔とケタミンを用いることで再び鎮痛効果を得ることができた.以上から,本麻酔管理法は喘息患者に対して有用であると考えられた.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.30.799