クモ膜下出血例における動脈解離の病理形態

「はじめに」近年, 椎骨脳底動脈系を中心に, クモ膜下出血で発症する解離性動脈瘤の報告が増加し, 様々な検討が行われてきた. しかし動脈解離の病理形態や血管撮影所見は症例により異なる点が多く, 本疾患の真の病態についてはなお曖昧なのが現状である. 報告の中には, いわゆる内頸動脈背側動脈瘤や紡錘形動脈瘤, あるいは血管撮影で出血源の同定できないクモ膜下出血例についても, 本病態との関連に注目するものもみられる. 本報告では頭蓋内動脈解離の臨床像をより明確にする目的で, クモ膜下出血剖検例の中で解離性動脈瘤または動脈解離病態の関与が疑われた10例を対象に, 病理組織学的所見と血管撮影所見を中心に...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 25; no. 3; pp. 169 - 176
Main Authors 遠藤, 俊郎, 栗本, 昌紀, 高羽, 通康, 西蔦, 美知春, 高久, 晃, 扇一, 恒章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 31.05.1997
日本脳卒中の外科研究会
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs1987.25.3_169

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Summary:「はじめに」近年, 椎骨脳底動脈系を中心に, クモ膜下出血で発症する解離性動脈瘤の報告が増加し, 様々な検討が行われてきた. しかし動脈解離の病理形態や血管撮影所見は症例により異なる点が多く, 本疾患の真の病態についてはなお曖昧なのが現状である. 報告の中には, いわゆる内頸動脈背側動脈瘤や紡錘形動脈瘤, あるいは血管撮影で出血源の同定できないクモ膜下出血例についても, 本病態との関連に注目するものもみられる. 本報告では頭蓋内動脈解離の臨床像をより明確にする目的で, クモ膜下出血剖検例の中で解離性動脈瘤または動脈解離病態の関与が疑われた10例を対象に, 病理組織学的所見と血管撮影所見を中心に検討を行った. あわせて本疾患診断上の問題につき, 若干の考察を行った. 「対象および方法」対象は, 解離性動脈瘤または関連の病態が疑われたクモ膜下出血 (SAH) 剖検10例である.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs1987.25.3_169