最近の腸管出血性大腸菌感染症の動向について
「はじめに」腸管出血性大腸菌(Enterohemorrhagic E. coli; EHEC)は重要な食中毒の原因菌であると同時に, 100個程度の少数菌での感染が成立する24, 37)ためにヒトからヒトへの二次感染, 動物からの感染などを含め, 感染症起因菌としても重要な位置づけがなされている. わが国では1996年に多発したEHECの集団事例をきっかけとして, EHEC感染症が当時の指定伝染病とされ, その後1999年に, 感染症の予防および感染症の患者に対する医療に関する法律(以下, 感染症法)において3類感染症とされた. 現在は, 感染症法に基づく全数把握の対象疾患として, 発生動向調...
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Published in | 日本食品微生物学会雑誌 Vol. 29; no. 2; pp. 88 - 93 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本食品微生物学会
2012
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Online Access | Get full text |
ISSN | 1340-8267 1882-5982 |
DOI | 10.5803/jsfm.29.88 |
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Summary: | 「はじめに」腸管出血性大腸菌(Enterohemorrhagic E. coli; EHEC)は重要な食中毒の原因菌であると同時に, 100個程度の少数菌での感染が成立する24, 37)ためにヒトからヒトへの二次感染, 動物からの感染などを含め, 感染症起因菌としても重要な位置づけがなされている. わが国では1996年に多発したEHECの集団事例をきっかけとして, EHEC感染症が当時の指定伝染病とされ, その後1999年に, 感染症の予防および感染症の患者に対する医療に関する法律(以下, 感染症法)において3類感染症とされた. 現在は, 感染症法に基づく全数把握の対象疾患として, 発生動向調査が行われている. 感染症発生動向調査による2010年のEHEC感染症の届出数は, EHEC感染症患者および無症状病原体保有者が4,135例報告され, 漸増状態が続いている20). EHEC感染症集団発生事例についてみると, 1996年に発生したような, 小学校, 保育園, 老人ホームなどでの規模の大きな集団発生事例が多発する13)ことはないものの, 10名程度の集団発生事例の報告は毎年続いており, 食品媒介性, ヒト-ヒト感染と推定される事例がある. |
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ISSN: | 1340-8267 1882-5982 |
DOI: | 10.5803/jsfm.29.88 |