突発性難聴に対する一次治療としての高気圧酸素療法の効果

要旨: 突発性難聴治療において高気圧酸素療法 (HBOT) は全身ステロイドによる治療への反応性不良である時に二次治療として選択されることが多く, 一次治療としての HBOT に関する報告は少ない。当院で一次治療としてステロイド全身投与と HBOT を同時に施行した42症例の成績, 効果に影響を及ぼした要因について検討した。 対象の重症度は Grade1 が8例, Grade2 が11例, Grade3 が15例, Grade4 が8例であった。 治療成績は, 治癒6例, 著明回復5例, 軽度回復10例, 不変16例であった。 治療成績について治療有効群 (軽度回復以上) と不変群を比較した。...

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Published inAUDIOLOGY JAPAN Vol. 66; no. 1; pp. 49 - 55
Main Authors 丸山, 祐樹, 木村, 百合香, 水吉, 朋美, 小林, 一女, 矢野, 真衣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本聴覚医学会 28.02.2023
日本聴覚医学会
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ISSN0303-8106
1883-7301
DOI10.4295/audiology.66.49

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Summary:要旨: 突発性難聴治療において高気圧酸素療法 (HBOT) は全身ステロイドによる治療への反応性不良である時に二次治療として選択されることが多く, 一次治療としての HBOT に関する報告は少ない。当院で一次治療としてステロイド全身投与と HBOT を同時に施行した42症例の成績, 効果に影響を及ぼした要因について検討した。 対象の重症度は Grade1 が8例, Grade2 が11例, Grade3 が15例, Grade4 が8例であった。 治療成績は, 治癒6例, 著明回復5例, 軽度回復10例, 不変16例であった。 治療成績について治療有効群 (軽度回復以上) と不変群を比較した。高齢, めまいの有無, 高血圧, 糖尿病は治療成績に影響を与えていなかった。治療開始まで14日以上の治療遷延群では有意に成績が悪かった。 以上より, 高齢者, 高血圧, 糖尿病, めまい合併症例に対する一次治療としての HBOT の有効性が示唆された。治療遷延群は HBOT を併用しても予後不良であった。
ISSN:0303-8106
1883-7301
DOI:10.4295/audiology.66.49