分子疫学解析を用いた赤痢菌のサーベイランスについて
「1. はじめに」赤痢菌は3類感染症の一つである細菌性赤痢の起因菌である. 細菌性赤痢は経口感染症で, 発熱, 下痢, 腹痛, 膿粘血便, テネスムスなどの症状を呈する. 赤痢菌は Shigella dysenteriae, S. flexneri, S. boydii, S. sonnei の4菌種からなる. 後述するように, 近年のわが国の細菌性赤痢の起因菌としては S. sonnei が7~8割, S. flexneri が3~2割を占めている. 本稿では赤痢菌のうち, わが国で最も患者が多い S. sonnei に関して分子疫学解析を用いたサーベイランスの現状を紹介する. 「2. 細菌...
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Published in | 日本食品微生物学会雑誌 Vol. 34; no. 2; pp. 90 - 95 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本食品微生物学会
2017
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Online Access | Get full text |
ISSN | 1340-8267 1882-5982 |
DOI | 10.5803/jsfm.34.90 |
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Summary: | 「1. はじめに」赤痢菌は3類感染症の一つである細菌性赤痢の起因菌である. 細菌性赤痢は経口感染症で, 発熱, 下痢, 腹痛, 膿粘血便, テネスムスなどの症状を呈する. 赤痢菌は Shigella dysenteriae, S. flexneri, S. boydii, S. sonnei の4菌種からなる. 後述するように, 近年のわが国の細菌性赤痢の起因菌としては S. sonnei が7~8割, S. flexneri が3~2割を占めている. 本稿では赤痢菌のうち, わが国で最も患者が多い S. sonnei に関して分子疫学解析を用いたサーベイランスの現状を紹介する. 「2. 細菌性赤痢発生状況」「2.1 海外における発生状況」細菌性赤痢は途上国を中心に発生している. WHOの推計では年間の患者数は1億6千5百万人, 死者は100万人とされている. |
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ISSN: | 1340-8267 1882-5982 |
DOI: | 10.5803/jsfm.34.90 |