骨 Paget 病による両側進行性感音難聴に対する人工内耳手術の有効性

要旨: 骨 Paget 病は進行性の混合性または感音難聴をきたすことが知られ, 重度難聴となることもあるが, 人工内耳手術を行った報告は少ない。今回我々は骨 Paget 病による重度難聴症例に人工内耳手術を行い良好な治療成績を得られたので, 過去の報告も踏まえ骨 Paget 病による難聴における人工内耳手術の有効性について検討した。症例は66歳男性, 50歳頃からの進行性難聴のため, 右人工内耳手術を行った。通常の手技で手術可能であり, 合併症は認めなかった。術後聴取成績は, CI2004 による単語聴取能が80%と良好であった。また, 本症例では術前側頭骨 CT にて両側の内耳道狭窄が指摘さ...

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Published inAUDIOLOGY JAPAN Vol. 65; no. 1; pp. 60 - 65
Main Authors 泉, 修司, 高野, 哲, 森田, 由香, 堀井, 新, 山岸, 達矢, 大島, 伸介, 高橋, 邦行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本聴覚医学会 28.02.2022
日本聴覚医学会
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ISSN0303-8106
1883-7301
DOI10.4295/audiology.65.60

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Summary:要旨: 骨 Paget 病は進行性の混合性または感音難聴をきたすことが知られ, 重度難聴となることもあるが, 人工内耳手術を行った報告は少ない。今回我々は骨 Paget 病による重度難聴症例に人工内耳手術を行い良好な治療成績を得られたので, 過去の報告も踏まえ骨 Paget 病による難聴における人工内耳手術の有効性について検討した。症例は66歳男性, 50歳頃からの進行性難聴のため, 右人工内耳手術を行った。通常の手技で手術可能であり, 合併症は認めなかった。術後聴取成績は, CI2004 による単語聴取能が80%と良好であった。また, 本症例では術前側頭骨 CT にて両側の内耳道狭窄が指摘されていたが術後成績は良く, 骨 Paget 病により内耳道狭窄をきたした場合においても蝸牛神経は障害されない可能性が示唆された。骨 Paget 病の難聴への薬物療法は進行を抑制する効果にとどまるとされており, 高度難聴となった場合は人工内耳手術を検討すべきと考えられた。
ISSN:0303-8106
1883-7301
DOI:10.4295/audiology.65.60